2007年11月  2.児童虐待
 この頃、児童虐待に関する報道が増えています。
 2005年1月〜12月に児童虐待による死亡事例として把握された合計70例(86人)のうち心中以外の事例51例(56人)に関する厚生労働省の調査結果によると:
○死亡した子どもは0歳が20人(38.5%)、1〜3歳が16人(30.8%)と乳幼児がほとんど
○虐待の種類は、「身体的虐待」が45人(80.4%)、「養育の放棄」が9人(16.1%)
○加害者は「実母」が38人(70.4%)、「実父」が11人(20.4%)と実の両親がほとんど
○加害の動機は、「しつけのつもり」が9例(24.3%)、「子どもがなつかない等」、「妄想等(精神症状)」、「保護を怠ったことによる死亡」、「望まなかった妊娠」が各々5例(13.5%)
○経済状態は、生活保護世帯が2例、市町村民税非課税世帯5例の計7例(38.9%)と経済困難のある家庭の割合が高い。
(出典:児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会第3次報告(2007年6月22日)
 毎週1〜2件の児童虐待による死亡事件が起こっていることになります。

 そして、死に至らないケースははるかに多いのです。
全国の児童相談所で2004年度に処理した児童虐待の相談件数が、前年度を24%上回る32,979件に達したことがわかった。相談件数の増加は14年連続で、統計を取り始めた1990年度の約30倍にのぼった。(出典:YOMIURI ONLINE)
 毎日90件の相談があることになります。表に出てこないケースは更に多いのでしょう。

 虐待を受けた子どもは、保護者から「おまえは何をしてもだめなのだ」「要らない子どもだ」というメッセージを有形無形に受け、自分を肯定できなくなっています。生まれてこなければよかった、生きていてもしかたないという思いが生まれ、誰にも愛されない、居場所がない、という不安定さを感じています。そうした子どもには、深い悲しみと怒りが内在しています。(出典:オレンジリボン運動 ホームページ)
★虐待を受けた子どもの心にイエスの愛が届くように、その子が人の心の温かさを実感するという恵みがいつかいただけるように祈りましょう。

 虐待をしてしまった保護者の中には、良かれと思うことに子どもがことごとく泣き声で答えるような気がして、子育てに自信がなくなり不安が募ってしまった人もいます。同居男性に引きずられて、暴力を止められなかった人もいます。自分自身が虐待や家庭内暴力の中で育って、傷を抱え、「子どもに触るのがイヤなんです」「どうしても子どもを愛せません」と訴える人もいます。
★今虐待をしてしまいそうな保護者の心にイエスの愛が届くように、今この瞬間だけは虐待を思いとどまり、子どもとの関係がなんとかつながるという恵みを祈りましょう。

 児童養護施設の職員は、親から受けた暴力を子どもたちからそのままぶつけられ、「消えろ」「死ね」と暴言を浴びせられ、疲労してしまい体調を崩す人も少なくありません。
★虐待を受けた子どもやその保護者に関わる施設の職員、そして民間団体で支援する人々にイエスの愛が届くように、その人たちがその働きを継続できる恵みを祈りましょう。