2009年7月  2.趣味
 長く日本におられ、イエズス会の総長なられたアルペ師の文書を参考にしながら、 以前に次のように記したことがあります。『My hobby es tratar con los hombres=私の趣味は人間とお付き合いすることです』。
 私自身の信仰は、歳とともにその幅が狭くなるに従って、深くなっていくのです。趣味も同じだと思うのです。
 子どもの時に趣味はたくさんあったような思い出があります。切手収集、サッカー、自転車、水泳などなど。だんだんと関心を失い、場合によって、物理的な力が不足したりして、できなくなります。
 いつも考えていることですが、人間はうまくできているものです。子どもの時に非常な関心を示した趣味が、もうできなくなるからと言って、べつに不幸になるということはありません。やはり人間は成長するものです。読書の趣味も、わりあいに普遍的なものです。しかし、歳をとるとやはり疲れてきますし、いずれ、それほどできなくなることでしょう。
 私の体験では、歳とともにできなくなるどころか、ますます引かれるのは「人間とのお付き合い」なのです。寂しがりやになったと言えるかもしれません。
 人にお会いして退屈を感じたことがありません。飛躍するかもしれませんが、人とお付き合いしながら、死のときを迎えたいと思います。神の世界はお付き合いの世界だと思います。分かち合いのエッセンスは、お付き合いのことです。
 お付き合いには、お金などが要りません。無償です。私の部屋に来たり、電話してくれたりして、メールを送ったりして、私に迷惑をかけた人は一人もいません。
 そのおかげで、ますます人間性を帯びてきます。豊かになります。癒してもらいます。
 お付き合いに年齢制限がありません。子どもから相当年配の人までお付き合いができるはずです。どんな宗教の人にもお付き合いができますし、どんな趣味の人にもお付き合いができないことはありません。むしろ違った信念や趣味の人とお付き合いした方が面白いのです。そのおかげで、私の世界は広くなります。互いに尊敬し合いさえすれば、よいはずなのです。
 お付き合いとは、人の肌に触れることです。強いて言うとすれば、神秘的な体験と言えるかもしれませんが、人の心に触れることでもあります。素敵な体験です。お金を払って得られるものではありません。お金の取引がないからこそ、高価なものなのです。おそらく人間の世界の中で、最も高貴なものです。
 また飛躍するかもしれませんが、人間の心に触れることは、ある程度まで神の御心に触れることに通じるのです。人間の心に触れたり触れられたりするのは、宗教的な体験だと思います。私と相手を超える神の恵みなのです。その恵みのチャンスを逃したくありません。人間万歳!!!と叫びたくなります。
 この考えを広げていって、人類の和解を実現したいと願っています。