2009年11月  4.サステイン
 サステインとは何のことでしょうか。持続する、あるいは、継続するという意味の英語です。音楽の世界で、音をひびかせ続けることを、サステイン、その仕組みを、サステンション、それを操作する装置を、サステンション・ペダルといっています。ピアノという楽器でいえば、鍵盤の下に通常金色のしんちゅうで創られたペダルがついていますが、その右側のペダルを踏むと、鍵盤でたたいた音がずっとひびき続けるのです。これが、サステンション・ペダルです。
 地球に生命をひびき続けさせるためには、サステインが必要なのです。「サステインが可能な・サステイナブル」という理念が、地球の環境保護の運動でうたわれるようになったのです。この理念は、1980年に国際自然保護連合(IUCN)、国連環境計画(UNEP)などがとりまとめた「世界保全戦略」に初めて著されました。 その後、1992年の国連地球サミットで中心的な考え方として、「環境と開発に関するリオ宣言」や「アジェンダ21」に具体化されるなど、今日の地球環境問題に関する世界的な取り組みに大きな影響を与える理念となりました。
 今月の教皇の意向では、「創られたものへの配慮」と述べられていますが、これは、神がお作りになった、この地球上のすべてのいのちが、その生命をひびき続けることができるように、私たちが思いを致し、祈り願い、そして、自分の責任の範囲で、サステンション・ペダルを踏むようにとの、呼びかけなのではないでしょうか。
 環境問題は、他人事ではないのです。自分の、一人ひとりの「ごみ・資源」の分別をはじめとし、電気のスイッチの上げ下げ、冷房や暖房の温度の設定が、一つひとつのサステンション・ペダルなのです。
 自分の責任で、はたしてどのくらいの量のCO2の排出削減が可能なのか、真剣に考えるときが来ているのです。
 最近のニュースですが、アメリカでは洗濯した後に乾燥機に濡れた洗濯物を投げ入れる光景が30年前から当たり前だったのですが、州によって、洗濯物を外に干してはならないという趣旨の法律を廃止して、洗濯物を外に干すことがゆるされるようになったのです。洗濯物を晴れた日に外に干すことは、サステンション・ペダルを踏むことなのです。
 この一週間、どのくらい温室効果ガスの削減に貢献できたかを意識して、過ごしてみてはいかがでしょう。