2010年10月  1.カトリック大学のために
 教皇ベネディクト一六世は、10月の一般の意向として、「カトリック大学が、神の言葉に照らされて、信仰と理性の間の調和のとれた一致を経験できる場となること」ができるように祈ることを勧めています。第二バチカン公会議の閉会(1965年)から45年が経過していますが、改めて第二バチカン公会議が、カトリック学校に期待した使命について思い起こしてみましょう。
 「カトリック系の学校の固有の使命は、学校内に自由と愛の福音的精神に満たされた学校共同体の雰囲気をつくること、青少年が自分の人格を発展させると同時に、洗礼によって新しい被造物となった青少年が新しい被造物として成長するように助けること、また生徒が世界、生活、人間について徐々に習得する知識が信仰に照らされるように、人類の全文化を究極的に救いの知らせに秩序づけることである。……それは、生徒が模範的および使徒的生活の実践により、人間社会にとって、いわば救いのパン種となるためである。したがって、カトリック系の学校は、神の民の使命を果たすうえに大いに貢献し、教会と人間社会相互間の利益のため両者の対話に役立つことができ、そのために現代の状況のもとできわめて重要な義務を有している」(『キリスト教的教育に関する宣言』8)。
 カトリック信者が少ない日本にあっては、カトリック系の学校で働く教職員だけでなく、そこで学ぶ青少年のごく一部のみが受洗者に過ぎないという状況の中で、カトリック系の学校がその存続のために、非常に大きな困難に直面しています。しかしながら、現在、身近にいる人々の中には、かつて、その人がカトリックの幼稚園、小・中学校、高校、大学のいずれかにおいて学んで影響を受け、受洗にまで至ったケースは少なくありません。キリストを告げ知らせるために、また、教会と社会の対話のために、カトリック学校、とくにカトリック大学は「救いのパン種」として重要な役割を担っています。カトリック大学の存続とその使命の遂行のために、世界の人々と心を合わせて、神の力強い助けを祈りたいと思います。