2016年4月  1.新たな門出の時
 桜前線が日本列島を通過中のこの季節、多くの若者たちが、また新たな環境のもとで歩みを始めています。日本の教会は、新年度を迎えるこの4月の意向に、「新年度の挑戦」を掲げて、新しい挑戦を始めるきっかけとなるようにと祈ることを奨めています。
 新しい歩みを始める人が皆、自分の思い通りの道を歩んでいるわけではありません。受験に失敗して希望の学校に進めなかったり、経済的な事情から勉学を続けられなかったり、資格を取得できずに、アルバイトなどをしながらさらに学び続けなければならなかったりする若者たちもたくさんいます。社会人として歩み始めた多くの若者の中にも、希望どおりに就職できなかった人は少なからずいるのです。私たち教会が「新しい挑戦の時」となるように祈るわけは、ここにあります。自分が望むことがかなえられなくても、いただいたいのちを精一杯生きることが大切であり、これこそが「挑戦」だからです。
 自分が置かれた場で、感情に振り回されることなく、その状況をある程度客観的に受け止めて、その時その場で最善を尽くして生きるすべは、きっと、この「きょうをささげる」の祈りのリズムを続けることで養われます。「朝の奉献」、つまり、その日に出会う人びとに自分のすべてをささげることを意識して、その一日を精一杯生き、「夜の究明」、つまり、神とその日に出会った人びとに、ありがとう、ごめんなさい、明日もよろしくお願いしますと、一日を振り返る習慣が身につくことで、新たな道が開けてきますし、そのために必要な恵みが与えられるようになるからです。
 桜舞い散る新たな門出の時、特に希望どおりの道に進むことができなかった若者たちに、日々をささげて祈りのうちに過ごす道を、指し示すことができるように、私たちに与えられた小さな役割を果たしてまいりましょう。そして、そのために祈ってまいりましょう。