2017年1月  1.ルターの宗教改革から500年
 「われわれの主であり、師であるイエス・キリストが、『悔い改めよ』と言われたとき、主は信じる者の全生涯が悔い改めの生涯であることを望みたもうたのである」。1517年に書かれ、宗教改革運動の発端となったカトリック司祭のマルティン・ルターの『九五箇条の提題』の冒頭には、そのように書かれていました。そして、この宗教改革の結果、キリストの教会の内部で対立・対決が始まり、分裂が顕著になりました。そして500年が経ちました。
 その記念の年である2017年のはじめに、教皇は福音宣教の意向として、真っ先に「キリスト者の一致」を掲げました。もちろん、これはルーテル教会とカトリック教会との和解を念頭に置いたものです。昨年の6月17日に、ルーテル教会とカトリック教会は、5年の歳月をかけて作成した歴史的文書「対決から交わりへ」を共同で発表しました。そして、その文書の「序」には、「ルーテル教会とカトリック教会は今日、相互の理解・協力・敬意の幅が広がったことを喜んでいる。両教会は、とりわけ、三位一体の神とイエス・キリストにおける啓示に対する共通の信仰、加えて義認論の基本的諸命題を認めることで、相互を分離する要素よりも結び付ける要素が多いことを認識するようになった。(中略)。1983年のマルティン・ルター生誕500周年記念の際には、ローマ・カトリック教会とルーテル教会は、ルターの中心的関心事を共に容認・支持した。委員会の報告書は、ルターを『イエス・キリストの証人』と呼び、『プロテスタントであれカトリックであれ、キリスト者は、この人物の人となりと使信とを無視することはできない』と宣言した。」と記してあります。
 教皇は、「すべてのキリスト者が、教会での霊的な交わりを取り戻すために祈りと愛の実践に努め、また、人類が直面しているさまざまな脅威に対処するために協力し、主の教えに忠実に生きることができますように。」と祈ることを、全世界に向けて呼びかけているのです。ルターが勧めるように「悔い改めの生涯」を日々重ねていくことは、「きょうをささげる」の生き方と重なるものです。
 キリスト者が一致して、全人類の正義と平和の推進のための道具となることができるように、心を合わせて祈ってまいりましょう。