2017年3月  1.今も迫害されているキリスト者
 3月の教皇の意向は、迫害されているキリスト者たちへの支援です。米国の迫害監視団体オープン・ドアーズの発表による2017年版のワールド・ウォッチ・リストによると、2015年11月1日から翌年10月31日までの1年間に、信仰関連の理由で殺害されたキリスト教徒の数は、世界で1207人に上るとされています。しかし、この統計には、テロリストによる迫害の最も厳しいイラクやシリア、また、キリスト教に対する国家的迫害でここ十数年間ワーストワンを続けている北朝鮮での死者の数は含まれていません。ですから、私たちの日常からは想像できないほどの迫害が、まさに今この時にも、行われている事実を受け止めなければなりません。
 福者ユスト高山右近の生涯を思いめぐらして祈りをささげた私たち日本の教会は、400年ほど前に迫害を経験し、特に今年になって公開された映画「沈黙−サイレンス−」に描かれた処刑のシーンに心を震わせています。歴史の中で経験した迫害と、今この時に起きている迫害が、まるで別のもののように感じられてしまう宗教的寛容に充ちた日本に暮らす私たちは、どのような方法で迫害されているキリスト者を支援することができるでしょうか。
 教皇はまず、祈りで支えるよう呼びかけています。祈りは心と心を重ねて思いを伝える営みです。迫害を受けている人の心の痛みを想像し、その痛みが少しでも和らぐようにと私の心を重ねて思いを伝え、また、迫害という出来事がなくなりますようにと祈る私の心を、神の御心に重ねて思いを伝えることが求められます。祈りは大きな力になります。祈りは社会を変えていく力になります。私たちの役割は、教皇の意向にそって、世界中の仲間と心を合わせて祈ることです。
 1日の灰の水曜日からの四旬節の始まりの時を、迫害されているキリスト者たちの心に私たちの心を重ねて過ごしてまいりましょう。