2017年6月  3.日本の武器輸出
 2014年4月、安倍晋三首相は日本の武器輸出を解禁し、「防衛装備移転三原則」を閣議決定しました。厳格な審査を経た上でという条件がついていますが、この決定によって、該当する武器の売却が国際平和と日本の安全に寄与すると判断された場合に、日本は武器を輸出することができるようになりました。日本の防衛政策における大きな転換でした。1967年に当時の佐藤栄作首相が掲げた武器輸出3原則を引き継ぎ、1976年2月に当時の三木武夫首相が衆議院予算委員会で答弁した武器輸出に関する政府統一見解を撤回したのです。 そして2015年10月には、新政策に基づき武器の輸出や他国との共同開発を行う防衛省の外局「防衛装備庁」までもが発足しました。
 世界における武器の輸出入において、日本の武器は、実戦での経験もありませんし価格も高いので、市場から評価されているとは言えません。しかし、武器の輸出を慎む姿勢は撤回されて、輸出ができるようになったことは確かでした。
 先進諸国で製造された武器が輸出されて、その国が国際貿易で利益を享受し、一方の紛争地域では、その武器が使用されて多くの人命が奪われ、しかも戦費の負担で政府や解放勢力が疲弊していくといった皮肉な構造を、どのように絶ち切ることができるでしょうか。日本に住んでいる私たち一人ひとりは、先進諸国での武器の生産、そしてその貿易から得た利益の一部を、何らかのかたちで享受しているのですから、自分の問題として武器輸出を捉えなければなりません。
 教皇の6月の意向では、はっきりと「武器売買の根絶」が唱えられ、私たち一人ひとりの「断固とした姿勢」が求められています。
 今、東アジアでは、核とミサイルを開発して、核保有国としての武装に突進している国が脅威となっています。その武器は、その国の外貨の獲得のために輸出されようとしています。今こそ、世界の人々と心を合わせて、武器売買の禁止、ひいては武器製造の禁止に向けて祈りをささげるときではないでしょうか。