2017年7月  4.ボランティア
 福岡県や大分県での豪雨による水害は、今まさに復旧の足がかりを付け始めたところです。報道によれば、たくさんのボランティアが、流木の片付けや、家財の整理、清掃などに携わっているとのことです。この働きに敬意を表し、感謝する気持ちを抱くのは、被災地の方々ばかりではありません。その苦しみや辛さを共感し、この方々のために日々祈りをささげている私たちも、実際に自分の体を使って奉仕する活動に、心を打たれます。
 日本は、未曾有の大災害に見舞われたときに、警察や消防、自衛隊など、そして行政やそれと連動するライフラインの供給者などによって、すぐに公的機関等による、救援・救助と災害復旧の活動が始まりますが、いわゆる民間後からとしてのボランティア活動もたいへん大きな働きをしてきました。今ふり返れば、1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災の救援のために全国から駆けつけたボランティアが、その活動の大切さを私たち一人ひとりに気づかせてくれたのでした。地震直後に現地において、被災者支援のボランティア活動に参加した人の数は1日平均2万人超、3か月間で延べ117万人とも言われています。被災地でのボランティア活動(専門ボランティア・情報ボランティアを含む)の重要度に対する一般の認識も飛躍的に高まりました。現地には行かずに被災負傷者のための献血・義捐金拠出・物資提供などの後方支援に携わった人々も含めると参加人数はさらに大きなものとなったことでしょう。このために、この年1995年は、日本における「ボランティア元年」とも言われるようになりました。後に内閣は1月17日を「防災とボランティアの日」、17日を中心とした前後3日の計7日間を「防災とボランティア週間」と定めました。
 この伝統は、東日本大震災と津波による被災の際にも大いに発揮されたことは、記憶の新しいことです。
 日本の教会は、夏休みの過ごし方を取り上げて、「すべての人が心身の充実のためにふさわしい休日を過ごすことができるように」祈ることを勧めています。ボランティア活動をとおして、愛の奉仕に自らをささげることで、金銭的報酬を目的とした経済活動とは全く違った充実感を抱くことができます。災害の復旧にとどまらず、今、私たちの奉仕を必要としている人々のために、直接、間接を問わず、ボランティアの心をもって活動に参加することできるようにと、祈りをささげてまいりましょう。