2017年8月  2.戦争による民間の犠牲者
 日本の教会は8月6日から15日までを平和旬間と定め、各教区でさまざまなかたちによる平和のための祈りの集いが開催されます。私たち一人ひとりが心を合わせて、平和の実現のために祈る日々と致しましょう。私たちは漠然と戦争による犠牲者と表現しますが、その一人ひとりはすべてかけがえのない大切な人です。戦争によっていのちを落とした人がいる家族にとっては、二度と戦争をしてはならないという思いは非常に強いものがあるはずです。
 ところで、いったいどのくらいの人が、戦争でいのちを失ったのでしょうか。第二次世界大戦では、5000万人から8500万人の死者が出たと推計されています。そのうち軍人が2200万人から3000万人ですが、民間人はその数を上回り、3800万人から5500万人におよんでいます。1939年1月1日時点での世界の総人口は約20億人と推定されていますので、最大で約4%が戦争の犠牲となったのでした。
 日本の場合、軍人の犠牲者が212万人、民間人が50万人から100万人でしたが、ポーランドでは、軍人が24万人だったのに対し、民間人は538万人から558万人にもおよんでいて、ユダヤ人虐殺の影響がこの数字にも表れています。民間人には何の責任もありません。国益と国益の狭間にあって、悲劇に見舞われるのです。
 今日の紛争、特にISとの軍事的な交戦でも、たくさんの民間人に犠牲がおよんでいます。民間人を人間の盾として防衛をはかるといった狂気に充ちた行動も起きています。戦争はつねにこのような酷い結末をもたらします。決して戦争や紛争を起こしてはならないのですが、それは私たち一人ひとりの不戦の決意によって初めて実現されるのでしょう。
 平和旬間を不戦の決意を新たにする機会として、祈りの日々を続けてまいりましょう。