2017年9月  4.宣教共同体とは
 「宣教共同体」とは、耳慣れない言葉かもしれませんが、私たちの教会が目指している姿を指し示したことばです。
 今から30年以上前のことですが、日本のカトリック教会は、教会と社会の遊離、信仰と生活の遊離を克服して、人々に奉仕する真の教会になるために、『日本の教会の基本方針と優先課題』を発表しました(1984年)。基本方針は二つの柱から成り立っていました。一つは、「全ての人を大切にする社会と文化に変革する福音の担い手になる」ことで、社会の福音化と理解することができます。もう一つの柱は、そのためにも「より多くの人を洗礼に導き、彼らとともに救いのみ業の協力者となる」ことで、直接宣教とでも言うことができるでしょう。
 そして、この基本方針を達成するための優先課題として3つを掲げ、その第一に「教区、小教区を宣教共同体になるよう育成する」ことを位置づけました。1987年の第1回福音宣教推進全国会議(NICE1)にこたえて発表された「ともに喜びをもって生きよう」という司教団メッセージでは、宣教共同体について次のようにまとめられました。
 「まず第一に、社会の中に存在する私たちの教会が、社会とともに歩み、人々と苦しみを分かち合っていく共同体となることです。(中略)教区、小教区を、そこに属する信者のためだけの共同体から、その地域に住むすべての人々とともに福音的に生きようとする共同体に変えなければなりません。(中略)そして裁く共同体ではなく、特に弱い立場におかれている人々を温かく受け入れる共同体に成長したいと思います。」
 教皇は今月の意向に、小教区の教会のために祈ることを掲げました。日本の教会も、基本方針をもう一度しっかりと受け止めて、ともに歩む「目に見える愛の実践の場」となるように、心を合わせて過ごす一週間といたしましょう。