2017年11月  1.孤独死をなくすために
 今月の日本の教会の意向は「孤独死をなくすために」です。「だれにも顧みられずに死を迎える人のいない社会が実現しますように」と、ともに祈ることが勧められています。
 つい先日のことですが、とあるご婦人が、部屋で倒れて動けなくなり、棚の上にある電話にもでることができず、誰にも助けを求めることができなくなってから数日も経ったところで、教会でつながりのある人の機転で、衰弱した状態で救出されました。まったく連絡が取れなくなってしまったことを心配して、市役所に相談し、警察に援助を求めとところ、その住宅に急行して様子をうかがってくれました。施錠されている部屋の中から声が聞こえるということで、消防がドアの解錠のために出動し、結果的には隣の住人に協力を求めてベランダ沿いに部屋に入って、まったく動けなくなっている方を発見し、病院に救急搬送した結果、その方は命を取り留めました。孤独死寸前の事態でした。
 65歳以上の一人暮らし高齢者は、男女ともに増加傾向にあります。1980年には高齢者人口に占める一人暮らしの割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2010年には、男性11.1%、女性20.3%という結果になっています。さらに、国民の3人に1人が65歳以上になるといわれている2025年には、男性14.6%、女性22.6%にまで増加する見込みです。
 孤独死の背景には、このような一人暮らしの高齢者の存在があります。前述のご婦人のように、教会とのかかわりがある人は、気にかけてくださる方々のネットワークにつながっていますが、付き合いの薄い高齢者は、体調を崩すことが孤独死に直結してしまうのでしょう。
 人付き合いの程度に関しての内閣府 の調査によれば、60歳以上の高齢者の場合、「付き合っている」と答えた人は、女性80.7%に対して男性73.8%となっています。このことから、女性で2割、男性で2割5分が他人との交流が少なく、頼れる人がいないという傾向が読み取れます。
 身近な人の中に、一人暮らしの高齢者はいませんか。その人との連絡が途絶えていませんか。身の回りに暮らす高齢者を心に留め、気遣いをしながらこの一週間を過ごしてまいりましょう。行動はつねに身近から。「アクト・ローカリー act locally」ですね。