2017年12月  2.難病治療の支援
 日本の教会は今月の意向に「難病治療の支援」をかかげ、HIVをはじめとする難病と闘う患者・家族・医療従事者を、日本の社会が物心両面で支援するように促しています。難病とは、一般的には原因が不明で治療方法が確立されていない疾患をいいます。難病患者は特に苦境に立たされるので、1972年に難病対策要綱が定められました。それによれば、行政の支援の対象となる難病の範囲は次の2つに分けられています。まず、原因不明で治療法が未確立であり、かつ後遺症を残すおそれの少なくない疾病、次に、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護などに著しく人手を要するため、家庭の負担が重く、精神的にも負担の大きい疾病の2つです。ただし、寝たきり老人や癌など、すでに別個の対策の体系が存するものは除外されています。
 現在、これらの疾病に対して調査研究の推進、医療費負担の軽減、医療施設の整備などが行われていますが、いわゆる特定疾患治療研究事業対象疾患医療費の助成を対象とする難病として認められていない疾病も数多く存在しています。病の原因が分からず、しかも慢性化しているにもかかわらず、症状を緩和する治療が健康保険の対象にならずに、しかも他の金銭的支援も受けられていない患者たちもいます。経済的に困窮し、治療をあきらめて難病を放置せざるを得ない人々もたくさんいます。ぜひとも社会からの支援が必要なのです。
 私たち一人ひとりも、いつ特定疾患として認められていない難病にかかるかは分かりません。ですから、特に制度的な援助が得られていない難病患者のために、物心両面で支援してまいりましょう。そして、多くの人が難病についての理解を深めていくことができるようにと、祈りをささげてまいりましょう。