2018年1月  3.ロヒンギャ
 今、国際的な関心を集めている問題のひとつに人々にロヒンギャがあります。つい先日も、ミャンマー軍がロヒンギャの住民10人を殺害したことを正式に認めて、大きなニュースになりました。
 ロヒンギャの実態について、その定義や正確な把握がまだ完全ではありませんが、バングラデシュとミャンマーの国境地域に暮らしていた主にイスラム教徒を中心とする人々の総称として使われていて、その人口は100万人とも80万人ともいわれています。生業は農業と交易ですが、ミャンマーでは不法滞在者として扱われているために、移動の自由が認められておらず、修学も就業も制限されています。現在も、ミャンマー側の仏教徒との間に死者もでるような激しい戦闘が行われているために、バングラデシュに逃れている難民も数多くいます。特に、昨年9月に、アムネスティー・インターナショナルが衛星写真からミャンマーで暮らすロヒンギャの住居を焼き討ちにしている状況を公開してからは、国際的な関心が一気に高まりました。
 教皇は、今月の意向で、「アジアでの少数派の宗教」が全き自由の中で信仰を実践することができるように祈ることを提案しています。ロヒンギャは、民族集団なのか宗教団体なのか、あるいはまた政治結社なのか、いまだ判明していませんが、仏教徒との対立が明らかになっていることからも、ミャンマーで信仰の自由が確保されていない状況がうかがわれます。キリスト教と直接関係がないこのロヒンギャの悲劇ですが、私たちも高い関心を寄せて、一人ひとりが人間の尊厳をもって自らの信仰に生きることができるように、心を合わせて祈ってまいりましょう。