2018年5月  1.固有の使命を授かる
 洗礼によってキリストの命にあずかったキリスト者すべてが、「キリストの祭司職、預言職、王職に参与するもの」に招かれています。そして、「神の民全体の使命の中で自分なりの役割を教会および世において果たして」います(「」内は『信徒使徒職に関する教令』917より引用)。ですから、司祭であれ、修道者であれ、あるいは信徒であれ、一人ひとりが使徒職への召命をいただいています。
 今から50年ほど前に、カトリック教会の現代化(アジョルナメント)を目指して第二バチカン公会議(1962年〜65年)が開催されました。そして、カトリック教会の外に向けても広く周知が必要な基本的文書を「憲章」と名付け、『典礼憲章』『教会憲章』『神の啓示に関する教義憲章』『現代世界憲章』の4つを順次発表しました。また、カトリック教会全体にかかわる文書として「教令」を9つと、教会の基本的姿勢を示した「宣言」を3つ、合計16の公文書を発表しました。冒頭に引用した『信徒使徒職に関する教令』は、1965年に発表されて、それまで司牧者だけに与えられていると考えられていた「使徒職」は、すべてのキリスト者が実行すべきものとして、新たな方向性が示されたのでした。
 さて、教皇の意向は、この教令の趣旨を具現化した「信徒の使命」です。「信徒が創造性を発揮して立ち向かい、固有の使命を果たすことができますように」と祈ることを呼びかけています。全知全能の神は、私たちに御国の建設に参与するように呼びかけています。私たち一人ひとりは万能ではありません。得手不得手がありますし、いのちをいただいて生きている人間として、自ずと限界があります。そのような状況の中で、神はこの私に、御国の建設という大きな計画の中の、どの部分をどのように手伝って欲しいと呼びかけているかを、祈りのうちに見つけ出していくことが肝要となります。これが「固有」ということばの意味です。私ひとりへの個別の呼びかけを、神との交わりの中で聴き、それを喜んで引き受けることです。
 まず、神が私に何を望んでおられるかについて、神と対話をしてみてはいかがでしょうか。すでに、固有の使命を授かった方は、その方向性が今の神の望みにかなっているかを確かめてみましょう。そして、「あなたの愛によって生かされている罪深い小さな私ですが、どうぞ私の命を召し出し(召命)、私の命を使って(使命)教会および世において、御国の建設のために役立ててください」と祈りをささげる毎日と致しましょう。