2018年7月  2.日本の難民認定制度
 日本の教会は、今月の意向として難民・外国人労働者を取り上げ、「生きる権利を保障され、日本社会に受け入れられて幸せに暮らすことができますように」と祈ることを掲げています。その背景には、難民として認定されるための審査が非常に厳格だという現状があります。
 2017年に19,628人が難民申請しました。しかし、わずか20人にしか認定されなかったのです。人道的な観点から、難民としてではない特別な在留許可が45人に与えられましたが、それを加えたとしても、在留許可を得た人の比率は、0.33%にすぎません。
 難民認定制度は人種や宗教などを理由に母国で迫害を受ける恐れがある外国人を保護するため、日本での在留を認める制度です。そして、申請中の日本での生活に配慮するために、難民申請をするとその6カ月後から就労できるように2010年から新たな運用が始まりました。その結果、2010年には1,202人だった申請が、前述のように2017年には19,628人と急増し、そのほとんどが就労目的の申請とみられ、再申請を繰り返して働き続けるケースも出てきました。そこで、2018年1月には急遽、就労許可の運用を中止することになりました。
 一方、申請した後の審査に半年以上もかかるという実態があります。申請の数が16倍に急増した結果ですが、申請中の就労が認められなくなったので、難民はさまざまな市民団体の支援のもとでの不自由な生活を余儀なくされています。
 難民認定制度は、難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書が1982年に日本で発効されたことに伴って、その諸規定を国内で実施するために整備されました。制度としては確立していますが、大きな課題はその運用です。日本の労働市場は外国籍の方々には開放されていません。この政策が、難民を受け入れことを極端に避ける制度の運用に大きく影響していると理解できるでしょう。
 働きたい人が、いつでもどこでも、平等に就労の機会が与えられるよう、また、難民認定制度が社会正義の観点から適切に運用されるように祈り、外国籍の人と心を重ねながらこの一週間を過ごしてまいりましょう。