2018年8月  3.平和の問題に常に関心を
 8月6日から15日までの日本カトリック平和旬間が始まっています。この機に、日本カトリック司教協議会会長の長崎教区長高見三明大司教が、「平和の問題に常に関心を」と題した談話を発表しています。今週はこの談話を素材として、平和を願う祈りの日々を過ごしてまいりましょう。以下、その冒頭と結論部分です。なお、「焼き場に立つ少年」の写真は、司教協議会から各教会に配布されています。

 昨年暮れにフランシスコ教皇様は、「焼き場に立つ少年」の写真に目をとめられ、「戦争がもたらすもの」と表題をつけて署名し、広く頒布するよう指示されました。この写真は、長崎の原爆投下1カ月後に米国従軍カメラマンが撮影したもので、戦争がもたらす不幸、悲しみ、虚しさ、憤りを表しています。戦争は決して引き起こしてはなりません、という教皇様の強い意思が伝わってきます。
 今年は第一次世界大戦終結100周年、インド独立の父マハトマ・ガンジー暗殺70周年、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者キング牧師暗殺50周年です。あらためて戦争と平和について考えさせられます。この一世紀の間、国際連盟設立、「国際紛争解決のため、および国策遂行の手段としての戦争の放棄」を誓ったパリ不戦条約締結、再度の大戦とその後の国際連合設立、東西冷戦、共産圏崩壊などがありました。一方、英仏ソ米などの100ほどの植民地が独立を果たしたことは幸いなことです。全体的に見ますと、今日まで世界規模で平和と人権保護が希求されてきたと言えます。
 わたしたちは、人間が神に象られて創造された高貴なものであり、全人類が一つの家族であると教えられています。また、人類は和解と相互愛によって連帯を構築する使命を神から与えられていることを知っています。このような信仰と確信に基づいて、愛をもって真実を語り、互いに高め合い、きずなをつくるために情報を役立てるように努めましょう。また世界特に東アジアの情勢を常に注視し、為政者たちが自国の利益の優先ではなく相互の善益と平和を追求するために徹底した対話を忍耐強く続けることができるよう祈りましょう。