2018年8月  4.両性の平等
 教皇は、今月のビデオの中で「家庭の大切さについて語るだけでは十分ではありません。家庭についての適切な政策とともに具体的な手段を促進し、社会の中の家庭の役割を豊かにすることが必要です。」と語りかけています。
 政策を立案し法制化し実施するにあたっては、宣言や憲章、そして各国の憲法が後ろ盾になっています。今日の自由で平等な社会を保障しているのは、他でもなく今から70年前の1948年に第3回国連総会で採決された「世界人権宣言」です。その第12条では「何人も、自己の私事、家族、住居若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有する。」と謳われ、家族、家庭が保護されています。
 そして、2015年には、国連人権理事会は、家族の理念が変出してきたことを危惧して、7月1日の定例総会で、「世界の貧困を撲滅する持続的開発を通じて人類が必要十分な生活水準を達成していくために、家庭の役割が重要であり、国や社会は家族を保護するべきであることを確認する」と決議し採択しました。
 日本国憲法第24条では、両性の平等、そして、家庭における個人の尊厳が保障されています。新しい家庭の誕生の契機となる婚姻については、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」としています。
 家庭の基礎は夫婦です。夫婦が固く深い絆で結ばれていることが、大前提となります。そのためには、互いに人格を認め合い尊重し合うことが求められます。夫婦が平等であることは、夫も妻も社会的な役割や家事をまったく同じように行うことを指していません。どちらも人間としての尊厳が守られている状態が、平等なのです。このような意味で、家庭、ひいては社会の平和と発展のためには、世界人権宣言でも謳われている「両性の平等」を、一人ひとりが毎日の生活で徹底していくことが求められるのでしょう。
 「両性の平等」が生活場面で実現されているかを確認しながら、家庭の大切さを祈る一週間といたしましょう。