2019年7月  2.技能実習生
 日本の労働市場は外国人に対してきわめて閉鎖的です。労働市場ばかりか、入国についても厳しい制限があります。
 外国籍の人が日本に入国するには、在留資格が必要となります。出入国管理及び難民認定法(入管法)によると、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、から始まり、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者に至るまで、実に28種類の在留資格に分かれています。それぞれの在留資格ごとに、許容される活動内容、あるいは地位・身分等に基づいて細かく分類されています。この中で「技能実習」は、過酷で劣悪な環境で低賃金で雇用されている実態が問題視されています。
 技能実習という在留資格は、報酬を伴う技能実習や研修を行うもので、1993年に導入されました。企業等の実習実施機関が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する企業単独型と、商工会等の営利を目的としない監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の実習実施機関で技能実習を実施する団体監理型の2つに分類されます。そして、入国後1年目を技能等を習得する活動の期間、2・3年目を習得した技能を習熟するための活動期間、4・5年目は、更なる技能習熟に宛てられる期間となっています。
 制度的には日本で技術を習得し、帰国してから自国の技術発展に寄与できるように見受けられますが、受け入れ企業では雇用契約を結んでいる労働者と同様の労働条件で扱われるものの、労働関係法令が適応されなかったために、賃金、労働時間といったトラブルも多発しました。そこで、2016年には、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が交付され、「外国人技能実習機構」が設立されて、この法律を遵守し、実習生の保護のために活動しています。
 このような状況の中で、昨年(2018年)の法律の一部改正によって、新たに「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設され、今年の4月から実施されました。これまで認められていなかった職種に就労することを認めることになり、大きな議論を巻き起こしています。「特定技能1」には(1)建設業、(2)造船・舶用工業、(3)自動車整備業、(4)航空業、(5)宿泊業、(6)介護、(7)ビルクリーニング、(8)農業、(9)漁業、(10)飲食料品製造業、(11)外食業、(12)素形材産業、(13)産業機械製造業、(14)電気電子情報関連産業の業種が、そして特定技能2号には(1)建設業、(2)造船・舶用工業の業種が含まれています。
 ところで、日本の教会の意向は「難民・移住・移動者と共に」です。「特に技能実習生の置かれた状況を理解し、実習環境をより良いものとしていくことができますように」と祈るように勧めています。私たちの日常からはその実態に近づくことが難しい領域の課題ですが、技能実習生たちの苦しみや痛みの声に敏感になって、状況の改善のために活動し、また祈る日々を心がけて参りましょう。