2019年12月  1.子どもから大人へ
 今月の世界共通の意向として、教皇は「とても若い人々の将来」を掲げました。子どものために祈るようにと促されたこともありました。また、若者のために祈るようにとも言われました。今回は「とても若い(very young)」との表現ですが、おそらく自分で考えて行動できるようになったけれど、まだまだ援助が必要な年齢層、12歳から17歳くらいを指しているのでしょう。成長の真っ盛りにあるこの時期の過ごし方は、将来に大きな影響を与える大切な時です。日本の教育では、中学校、高等学校にあたります。
 ひとたび世界に目を向けると、子どもから大人に成長するこの時期に、教育を受けることができずに、家事を手伝ったり、仕事に就いたり、あるいは兵士として徴用されたりと、困難な生活を余儀なくされている若者が数多くいることが知られています。ユニセフの2017年のデータによれば、1億2300万人の子どもたち(6歳から15歳まで)が就学していない状況にあり、その数字はこの10年間変化していないと報告されています。子どもの人口の12%ほどにあたります。ですから、その上の世代、つまり「とても若い人々」の就学率はおのずとさらに低くなっていると推定されます。
 教皇の呼びかけに応えて、私たちに何ができるのでしょうか。「とても若い」人々の将来のために、何ができるのでしょうか。抽象的ですが、その答えは明白です。「正義と平和」の実現にほかなりません。戦争や紛争がたくさんの孤児を生み、難民を輩出し、飢餓や貧困を生み出していることは、周知の事実だからです。しかし、武器をもって平和を実現しようとする力が常に働いて、軍備は増強の一途をたどるばかりです。
 主の祈りの中で、イエスが私たち人間同士の関係について祈るようにと教えているのは、ただ一つ、「ゆるし合う」ことです。人と人とがゆるし合い、民族と民族がゆるし合い、国家と国家がゆるし合う関係に、一日も早くたどり着くことができるようにと願います。
 そして、正義と平和が行き渡り、人々が子どもから大人へと大きく成長できるような環境が整うように願っています。今週は、「とても若い人々」のために祈る一週間といたしましょう。