2021年10月  3.日本宣教学会
 カトリック教会は10月24日の「世界宣教の日」に向けて、そのメンバー一人ひとりが自らに与えられた使命について祈り、み国の建設のため働くことができるように、日々の歩みを続けています。そして、その意識を喚起するかのように、教皇の意向も日本の教会の意向も、今月は「宣教」を取り上げています。
 宣教は、カトリック教会だけに与えられた使命ではありません。キリストに従うことを生き方として選び取り、その共同体の仲間に加わったすべてのキリスト者に与えられたものです。日本では、プロテスタントの教会とカトリック教会が、エキュメニカルな活動の一つとして日本宣教学会を組織して、しっかりとした歩みを続けています。
 「宣教のパラダイム転換」と題されたデヴィッド・ボッシュの論文が翻訳されるにあたって、カトリックとプロテスタントの連合翻訳チームが結成されました。その流れの中から、研究者がともに成果をもちより合って研鑽に励む学会として2006年に発足を見て、毎年6月に全国研究集会を開催し、翌年の集会までにその研究発表を基軸とした研究紀要「宣教学ジャーナル」を刊行してきました。
 カトリック、プロテスタント双方から、宣教学の先端的研究者、現場での実践を進める神学者などが全国研究集会の報告者として依頼され、研究集会での議論を経て、紀要に論文として掲載するというプロセスを経ているもので、学術的水準の高い粒のそろった年報として、高い評価を受けています。
 因みに最新刊には、自然災害と宣教について、カトリック側から幸田和生名誉司教が自らの東日本大震災復興支援の体験を踏まえて、またプロテスタント側から日本基督教団宣教研究所の室長を歴任された戒能信生師が関東大震災後のボランティア活動について話されたことが掲載されています。
 宣教についての研究活動に励んでいる方々の日々の営みにも思いをいたし、神のみ心に叶う成果が生まれますようにと、私たちも祈りをささげてまいりましょう。