傾聴ボランティアから居場所づくりへ
 私は今、高齢者の傾聴ボランティアをしています。シニア・ピアといって、不安や寂しさを抱えた方や、話し相手が欲しい同世代の高齢者の方の気持ちに寄り添って聴くボランティアです。傾聴をする上で大切していることは、「同じ傾聴をするにしても相手の方の中に働かれる神を感じながら傾聴すると、結果として違ってくるよ」というある神父さまのアドバイスです。また「老いや死は神秘である」ことも大切にしています。
 主が私を傾聴へ導かれるまでに、人と人の間に壁が立った深い苦しみと痛みを伴った若い時の体験、信仰に生きた母の老いの同伴、祈りと分かち合い、使命に生きる信仰の仲間との出会いなどによって養われてきました。聴くことを始めた頃は老人施設に出かけ「お話し相手」をしていましたが、次第に「私は本当に聴けているだろうか」という疑問をもちました。その頃、高齢者傾聴ボランテァ養成講座を知り、受講してみました。そこでは、相手の側に立ち心に寄り添って、受容と共感をもって、丸ごと受け止めて聴く「傾聴」を教えていただきました。
 最近、子育て支援ボランティアの知人から、新しく子育て支援の「場」を作りたいと相談を受け、子育て支援・高齢者傾聴・各種ボランティアが手を結び、「おじいちゃん・おばあちゃんから赤ちゃんまで」の「異世代交流の居場所」を立ち上げました。愛の心を大切にする場作りの意識を仲間と共有しながら、社協・保健所・自治会介護支援センターなどの後押しも受け、現在、月2回開いています。
 今、日本の競争社会で育った若い方の中には自分の弱みを見せられず、育児ノイローゼになる方もおられます。「居場所」では子育てでクタクタのお母さんが「すみません、この子を抱っこしててください、私は少し休みたいのです」と言うと、そこへすっと差し伸べられる手があります。育児経験者世代の愛の手です。若いおかあさんやこどもたちに童謡を歌ってくださる独り暮らしの高齢者の方は、自分の持ち味で人に喜んでもらえることによって元気を取り戻し、イキイキとしてこられました。安心な環境、人々の温もりの中に共に居ると、みんな自然に笑顔になります。ハイハイしてマットから出てくる子のために、入り口に靴をきれいに拭く席を設けました。皆さんの足をとりスタッフが靴を拭きますが、私には、イエスさまが足を拭かれる場面がいつも心に浮びます。年を重ねてから、地域の方々とのこんなにも豊かな出会いの場を与えられたことに心から感謝しています。「互いに愛し合う場」に神さまのお恵みを感じています。
〈63歳女性 傾聴ボランティア〉
* ふりかえりのヒント*
1.人の話をよく聴きた(傾聴した)体験がありますか。そのときどんなことに気づいたでしょうか。
2.現代社会には、どのような「居場所」が必要だと思いますか。
(出来事に聴く 101 2006/4/14)