友情
 久しぶりにParisのロダン博物館を訪ねた。ルーブルやオルセーなどの大きな博物館と違い、ここは庭園に囲まれ、落ち着きのある環境の中でゆっくりと味わえる。今回は、ロダンのLe Baiser(接吻)の前で、少し気恥ずかしい思いもあったけれど、しばらく留って味わった。数年前に、小学校からの親友と再会したときの忘れられない一時を思い出したからだ。
 彼女がご主人を亡くし、一人暮らしを始めて2,3年経った頃だった。いつものことながら、時間を忘れ、夜枕を並べてまでも果てしなく夢中でおしゃべりが続いた。信者でない彼女にとって、昔と少しも変わらないこの友人が、結婚もしないで送っている修道生活とはどんなものかと興味津々でもある。その時、彼女がしみじみと言った一つの言葉が忘れられない。
 「あのね、夫婦ってね、唯一、全く裸で肌と肌を合わせ、互いの温もりを感じ合い、全く無防備ですべてを明け渡す者なのよ。あなたも幸せだと思うけど、こんな幸せを味わって欲しいって思うの。」と静かにつぶやくように言った。何の衒いも戸惑いもなく、全く個人的な深い体験をさり気なく分かつ彼女、こんな幸せをあなたにも、という彼女の深い友情に、私はひどく感動していた。そして、彼女が、本当の愛を体験した幸せな人生であったことを何よりもうれしく思った。修道者として「神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子どもを捨てたものは誰でも、この世で、その何倍もの報いを受け、後の世では永遠の命を受ける。」というイエスの言葉は本当だとしばしば実感しているなか、信者であろうとなかろうと、同じ神の子として、同じ愛の源泉につながり、そこから流れる水を汲んで生かされているのだと実感したこの感動の一時が忘れられない。ロダンの彫刻の前で、この出来事の感動を新たにしたのでした。
〈60代女性 修道女〉
* ふりかえりのヒント*
1.性の役割、素晴らしさ、かけがえのない友情や愛を実感した体験、そしてその体験に戻り、新たな味わい、気づき、深まりを体験したことがありますか。それは何ですか。
2.このような貴重な賜物の送り主であるお方に心を上げ、その方と対話してみましょう。
(出来事に聴く 116 2007/6/22)