イエスは足を洗われた
 私の今の仕事は、病棟のベッドの上で入院患者さんの足を洗い、オリーブオイルでマッサージをすることです。何か出来ないかと探していた時、通路に足を向けて休んでいる方に出会いマッサージをさせて頂きました。いつしか綺麗な足になるようにと、石鹸で洗い、お湯をたっぷりかけた後、マッサージすることになりました。お風呂に入れない方には事のほか喜ばれるようになりました。そのうちだんだん重症の方へ仕えるようになり、私のなかでは旅立ちへのお手伝いのような気持ちへと変わっていき、言葉ではなく手を使って祈るようになりました。
 先週の月曜日、車窓から海を眺め、「この海は世界の国とつながっているんだよね。この海の中にも美しい世界が広がっているんだよね。」と言って逝かれた方を思い出しながら、病院へ向かい、皆で祈り、二人の方の足を洗いました。先週喜んで迎えてくださった重症の若い方にはもう会えませんでした。
 水曜日、緩和ケアー病棟で50代男性の足をマッサージしました。熱いタオルで拭いてから始めましたが、皮膚がボロボロ落ちました。お湯と石鹸で片足づつ洗い、お湯で流していると「ああ、いい」と言われ、励まされて、これが一期一会と一生懸命に努めました。終った時、「お名前を聞かせてください。」とおっしゃられ、何か見えないお方から声をかけられたかのように心が豊かになり嬉しくなりました。
 今日もまたがんセンター。一人の男性の足洗いとマッサージを終え、重症の男性の足洗い、手洗い、そして奥様にマッサージの仕方をお伝えし、もう一人、中年の体が細くなった方の全身マッサージ。終えると「あなたの名は」と聞かれました。
 病院でのボランティアは、入院患者さんに仕えることで、いろいろな人生の、ありのままの姿に出会うことが度々あり、祈りなくしては出来ない活動です。当然困難なことにも出会いますが、至福を味わうひと時です。こうして毎回手足を洗いながら、「イエス様が足を洗われた姿にあやかっているのかな」と自分の手を眺めます。
〈70代女性 主婦 病院ボランティア〉
* ふりかえりのヒント*
1.ボランティア活動をしたことがありますか。あるいは現在していますか。きっかけ、動機は何でしたか。
2.与える体験から、何を学び、何を受けましたか。
(出来事に聴く 132 2008/3/14)