光の村

 真っ暗な洞窟で暮らしている人々がいました。彼らは一生の間、手探りしながら、お互い同士つまずいたり、ぶつかったりして過ごしました。どこか地下牢の暮らしに似ていました。しかし、ある時、洞窟に、「おまえを国々の光りにしよう。おまえは私の民、すべての人の道しるべのあかりとなる」と言う声が響きました。それ以来、人々はみな、ここを明るく照らしてくれるものを、必死に捜していました。
 では、どうすれば光が現れるのか、どこをどう捜せばいいのかとなると、さっぱり見当がつきません。なにしろ、光とはどんなものか、誰も知らなかったのですから。彼らが光を捜すありさまは、それはこっけいでした。手に触れるものには、まずしがみつき、つまずくものがあれば逃さず、「私のだ。これは私のだよ」と叫びます。「もしかして、これが光かも‥‥」と思うからです。
 そんなある日、一人の男の子が生まれました。村人たちはその子がどんな子かと手で触れてみるや、「この子は変わってる」とロ々にいいました。成長するにつれ、その子供が皆とどこか違うので、両親も心配し始めました。態度ふるまいも違うし、その上、「手伝いましょうか」と人に声をかけるのです。
 暗やみの洞窟で、そんなことばが話されたことはかつてなく、それは大きく反響し、閃光さえ放ったように思えました。その子は、折があれば、「捜すのを手伝いましょうか」と言う。彼の姿は、ろうそくの小さな炎のようにぽっとあたりを照らし出しました。洞窟の住民はその子が「光」なのだ‥‥とわかって来ました。
 そのうちに、人々は彼ら自身も光なのだと、気づき始めました。ただ消えたり、汚れたりしていただけで。それからは、誰かが人を手助けするたびに、その人のうちに光が射しました。こうして、少しずつでしたが、洞窟は「光の町」へと変わっていきました。

 「その光の町はどこにあるの?」と、私はこの話をしてくれたホタルにたずねてみました。ホタルは言いました。「どこにあるか、本人にしかわからない。見つけたかったら、心の中の地図で捜すんだ。そうしたら、光になりたいと思う人には、見つかるよ。」

  
画: ホアン・カトレット
  

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