4月25日 復活節第4主日

第一朗読  使徒言行録 4:8-12
そのとき、ペトロは聖霊に満たされて言った。「民の議員、また長老の方々、今日わたしたちが取り調べを受けているのは、病人に対する善い行いと、その人が何によっていやされたかということについてであるならば、あなたがたもイスラエルの民全体も知っていただきたい。この人が良くなって、皆さんの前に立っているのは、あなたがたが十字架につけて殺し、神が死者の中から復活させられたあのナザレの人、イエス・キリストの名によるものです。この方こそ、
『あなたがた家を建てる者に捨てられたが、隅の親石となった石』
です。ほかのだれによっても、救いは得られません。わたしたちが救われるべき名は、天下にこの名のほか、人間には与えられていないのです。」

第二朗読  ヨハネの手紙 一 3:1-2
(愛する皆さん、)御父がどれほどわたしたちを愛してくださるか、考えなさい。それは、わたしたちが神の子と呼ばれるほどで、事実また、そのとおりです。世がわたしたちを知らないのは、御父を知らなかったからです。愛する者たち、わたしたちは、今既に神の子ですが、自分がどのようになるかは、まだ示されていません。しかし、御子が現れるとき、御子に似た者となるということを知っています。なぜなら、そのとき御子をありのままに見るからです。

福音朗読  ヨハネによる福音書 10:11-18
(そのとき、イエスは言われた。)「わたしは良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる。羊飼いでなく、自分の羊を持たない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き去りにして逃げる。――狼は羊を奪い、また追い散らす。――彼は雇い人で、羊のことを心にかけていないからである。わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている。それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。わたしは羊のために命を捨てる。わたしには、この囲いに入っていないほかの羊もいる。その羊をも導かなければならない。その羊もわたしの声を聞き分ける。こうして、羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる。わたしは命を、再び受けるために、捨てる。それゆえ、父はわたしを愛してくださる。だれもわたしから命を奪い取ることはできない。わたしは自分でそれを捨てる。わたしは命を捨てることもでき、それを再び受けることもできる。これは、わたしが父から受けた掟である。」

祈りのヒント
イエスが自分のことを良い羊飼いにたとえるとき、彼の心にはいつも“ダビデの詩(詩編23)”が響いていたと思う。「主は羊飼い、主はわたしを青草の原に休ませ、憩いの水のほとりに伴い、魂を生き返らせてくださる」と。羊と羊飼いは、当時の日々の生活に欠かせないものであった。
羊飼いの仕事は人々の生活の一部となっていた。旧約聖書における神のイメージは、イスラエルの民の羊飼いであった。イスラエルのリーダーたちも羊飼いにたとえられていたが、預言者たちはそのリーダーたちが偽りの羊飼いであると、たびたび非難している(エゼ34参照)。そして、来られるべきメシアは理想的な羊飼いとして描かれている(エレ23参照)。
ヨハネ福音書では、イエスが自分のことを良い羊飼いにたとえるが、父なる神こそがイエスの良い羊飼いのモデルであった。羊飼いは羊を名で呼び、彼らの先頭に立って導く。羊は羊飼いの声を知って、聞き分け、羊飼いを信頼し、彼に聞き従う。この「知る」は一方通行の「知る」ではなく、相互的であり、知識的な関わりというより、心からの人格的なアガペの交わりを指している。
羊のために自分の命を「捨てる」という動詞は原文では、「置く」という意味がある(ヨハネ13:4「上着を置く=脱ぐ」参照)。つまり、自由と愛をもって、命を「捨てる」ということである。雇人の羊飼いの行動と違う。その違いは、良い羊飼いと羊の「心のかかわり」に見られる。お互いの声を聞き分ける。その相互的な愛の源泉は「父」と「子」の愛の交わりにある。
真の羊飼いの心は、ほかのすべての羊にも開かれている。彼らにも同じ愛で関わりたい。福音記者ヨハネは、実際、異邦人もイエスの声を聞き分け、キリスト者になったことをここに記している。最後に、命を捨てることが再び命を受けることにつながっている。それはイエスの死と復活を指している。
ヨハネ10章は“解放のビジョン”と呼んでもいい。その解放は、本物の羊飼いイエスとの出逢いから生まれる。“イエスに出逢って本当によかった、幸せ!”彼は常に、愛の交わりで私たちを知り、導き、私たちに本物の命を分け与え、ご自分の命を捨てるほどの愛で、死と災いから守ってくださる。良い羊飼いイエスからは、だれも命を奪い取ることができない。彼は自ら自由と愛をもって、羊のために命を捨てる。
(日曜日のみことば 2021-04-25)

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