8月4日 年間第18主日


第一朗読  コヘレトの言葉 1:2、2:21-23
コヘレトは言う。
なんという空しさ
なんという空しさ、すべては空しい。
知恵と知識と才能を尽くして労苦した結果を、まったく労苦しなかった者に遺産として与えなければならないのか。これまた空しく大いに不幸なことだ。まことに、人間が太陽の下で心の苦しみに耐え、労苦してみても何になろう。一生、人の務めは痛みと悩み。夜も心は休まらない。これまた、実に空しいことだ。

第二朗読  コロサイの信徒への手紙 3:1-5、9-11
(皆さん、)あなたがたは、キリストと共に復活させられたのですから、上にあるものを求めなさい。そこでは、キリストが神の右の座に着いておられます。上にあるものに心を留め、地上のものに心を引かれないようにしなさい。あなたがたは死んだのであって、あなたがたの命は、キリストと共に神の内に隠されているのです。あなたがたの命であるキリストが現れるとき、あなたがたも、キリストと共に栄光に包まれて現れるでしょう。
だから、地上的なもの、すなわち、みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望、および貪欲を捨て去りなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。互いにうそをついてはなりません。古い人をその行いと共に脱ぎ捨て、造り主の姿に倣う新しい人を身に着け、日々新たにされて、真の知識に達するのです。そこには、もはや、ギリシア人とユダヤ人、割礼を受けた者と受けていない者、未開人、スキタイ人、奴隷、自由な身分の者の区別はありません。キリストがすべてであり、すべてのもののうちにおられるのです。

福音朗読  ルカによる福音書 12:13-21
(そのとき、)群衆の一人が言った。「先生、わたしにも遺産を分けてくれるように兄弟に言ってください。」イエスはその人に言われた。「だれがわたしを、あなたがたの裁判官や調停人に任命したのか。」そして、一同に言われた。「どんな貪欲にも注意を払い、用心しなさい。有り余るほど物を持っていても、人の命は財産によってどうすることもできないからである。」それから、イエスはたとえを話された。「ある金持ちの畑が豊作だった。金持ちは、『どうしよう。作物をしまっておく場所がない』と思い巡らしたが、やがて言った。『こうしよう。倉を壊して、もっと大きいのを建て、そこに穀物や財産をみなしまい、こう自分に言ってやるのだ。「さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ」と。』しかし神は、『愚かな者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか』と言われた。自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者はこのとおりだ。」

祈りのヒント
 「財産分与」から生じる争いは、今も昔も変わらないようです。子供たちは、親の財産の中から自分が受ける分が一体どれだけになるのかと考えます。あまり、気持ちがいい話ではありませんが、それが現実なのです。
ルカ福音書の『放蕩息子』のたとえ話では、弟が自分に相続される財産を父親に要求しています(ルカ15・12)。イエスのところに来た人も、自分が受けるべき財産を要求したところ兄弟間で争いになったのでしょう。当時、ラビは人々に教えを与えるだけではなく、裁判官の役目もしていたようです。ですから、イエスは、彼に「友よ、誰が、わたしをあなた方の裁判官、または仲介者に立てたのか」と言われます。私たちは、イエスに対して時々自分の都合がいい時に願い祈るという傾きがあるのではないでしょうか。
さて、きょうのみことばは【財産】ということに注目されますが、財産を自分の才能、能力、資質と置き換えてみてはいかがでしょうか。例えば、作曲の才能がある人が、素晴らしい曲を作り、その曲が売れたちまち有名になるとします。確かに、その人の音楽的才能はその人のものですが、本当にそうでしょうか。
イエスは、愚かな金持ちのたとえ話の中で、自分自身のためだけに蔵を大きくして後世を悠々自適に生活しようと思う人に、「愚か者、今夜、お前の命は取り上げられる。そうすれば、お前が蓄えた物は、いったい誰のものになるのか」と言われます。彼は、一生懸命に畑を耕し多くの収穫を得て、裕福になっています。しかし、その才能もやはり、おん父から授かったお恵みなのです。
ヨブ記の中に、「わたしは裸で母の胎を出た。裸で、そこに帰ろう。主が与え、主がお取りになった。主の名は祝されますように」(ヨブ1・21)という箇所があります。私たちは、私たちの全てをおん父から頂いたものなのですが、あたかも自分の才能、自分の能力と考えてしまう危険性を持っています。
私たちは、これらの才能や能力の全てを感謝のうちに主にお捧げするという謙虚な気持ちを大切にすることができたらいいですね。
(日曜日のみことば 2019-08-04)

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