祈りと生活

観想的な祈りへの方法 2

静けさのうちにとどまる

 人間の心は海にたとえられます。海面には荒波や恐ろしい泥流がありますが、海底には透き通った清らかな静けさがあります。そこには誰も汚すことのできない静寂な世界があります。この静寂な世界によってこそ、私たちは、無限な神、永遠の今とつながっています。他のものはすべて時間と共に流れていきますが、この世界は永遠の今の静けさの内にいつも残ります。そこにこそ神がおられるのです。
 アビラの聖テレジアは、「霊魂の城」という本の中で、人間の深みのレベルを区別していますが、一番深い第七の城には、王である神が宿っていると言っています。そこには、神以外には誰も入れません。私たちにできるのは、この世界に心を開いて、「素直」(この漢字に見られるように「もとにまっすぐ」)になることしかできません。もっと浅いレベルには様々な感情、雑念、煩悩があるでしょうが、より深いところには神の宿る魂の最も深い所があります。この静けさは大きな恵みです。神の静けさの内に、自分が静かになることだからです。この静寂な所においてこそ、取り越し苦労や雑念から来る不安を乗り越えて、自分の中にあるもっと深いものを感じ取り、そこで統合されている自分、平和な自分を見つけることが出来ます。
イシドロ・リバス 著 「祈りを深めるために(その1)―自分の人生の中で―」(新世社)
『今の自分で神を見つける』 より
(生活の霊性-祈りを深めるために 13)

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