こころの散歩

七人の愚か者

七人の愚か者

七人の愚か者が隣村のお祭りに招かれた。連中はすっかり酩酊(めいてい)し、千鳥足で村へもどっていった。すると雨が降り出した。
そこで、バンヤン樹の大木の下で夜を明かすことにした。

翌朝、目が覚めると彼らはうめき、泣き叫んだ。通りかかった人が、「どうしたのかね」とたずねた。
「昨夜この木の下でひとかたまりになって休んだんです。」愚か者の一人が言った。「朝になってみると手足がからみ合ってしまい、どれがだれのだか分からんようになったのです。」
通行人は言った。
「簡単なことだ。ピンを一本貸してくれ。」彼は目の前の足にぐいとピンを突き刺した。
「痛い!」男のなかの一人が叫んだ。
「ほうれ、その足がおまえさんのだ。」通行人が男に言った。それから彼は腕を突き刺した。
「痛い!」別の男が叫んだ。これで腕の持ち主がはっきりした。こうしているうちに手足の全部がほぐれた。愚か者たちは、自分たちの苦労したことなど一向平気で、喜々として村に帰っていった。

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