こころの散歩

緑の星

緑の星

 天の国にたくさんの星がありました。あらゆる色の星々…黄色、赤、青、緑、ピンクなど。
 ある日、星たちが神様の所へ集まり、あの美しく見える地球に住んでみたいと願い出ました。神様は「望み通りにしなさい」と言いました。その夜、すばらしい星の雨が降りました。あるものは教会の高い塔に隠れました。あるものは、小川の蛍と一緒に遊びました。このようにして、地球は不思議な光で輝きました。
 しかし時がたつと、星たちは人々の世界を離れて、天国に戻ってきました。神様が「なぜ、こんなに早く戻ってきたのですか?」と聞くと、星たちは、「人間の世界に入ってみたら、暴力、不正、悲惨だらけ、天国のほうが住みやすかった」と、答えました。しかし天使が、「一つの色の星だけが、帰って来ません」と、報告しました。「その星は、自分の住むところが、痛みのあるところ、限界のあるところ、うまくいかないところだと知りました。天国には必要ないけれど、地球には必要だとわかったのです。」
 「何の星ですか」と聞くと、「それは緑の星、希望の星です。」と答えました。
 地球に目を向けると、地球に住む一人一人の人間の中に希望の星が輝いていました。

  
画: 泉 類治
  

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