2007年7月  3.環境問題
 地球に住む私たちにとって公益の管理に積極的に参与すべき大きな課題に「環境問題」があります。
 豊かな先進諸国は、公平な分配から考えて他の国々と比べ、はるかに多くの地球の大気を使用しています。ですから、気候変動に対する対応策に要する費用を十分に補償する必要があると思います。そのような背景のもと1997年に「京都議定書」が作られ、先進国は2012年までに地球温暖化をもたらす「温室効果ガス」の排出量を5%以上削減しょうというものでした。しかし残念ながら10年経った今も、世界が一致して取り組むまでに至っておりません。そして、進行する温暖化によってまさに沈もうとしている国があるのをご存知でしょうか。

 「ツバル」という国を知っていますか。オーストラリアの北東にある小さな島国で、8つの島からなり大きさはすべての島(珊瑚の島)で26平方キロメートル(東京の品川区ほどの大きさ)で、約1万人が暮らしています。海抜は高いところで4メートルしかありません。地球温暖化による海面上昇の影響を受けやすい国なのです。今年2月の大潮では、海面上昇による被害が突如拡大しました。海面が高くなってくると、地中から海水が噴出し住宅地まで浸入してくるようになったのです。こうした現象は今年が初めてだったといいます。ツバルは経済的には決して豊かではありませんが、人々はとても明るく、自給自足の生活様式が根強く残っていて、分かち合いと助け合いの精神が強く、心の豊かさが感じられるそうです。

 ツバル国名誉総領事のホームページには次のような詩が紹介されています。
   神さまの国 ツバル
   ぼくらはそこに すんでいる
   金も銀も なーんにもないが
   ぼくらはちっとも 気にしない
   あなたは やさしく あたたかい
   あけぼの近く よせ波ひびく
   浜辺にあなたの 声をきく
   あなたをたたえる 声をきく
   あなたをたたえる 声をきく
 この小さな国は、環境の負荷が少ない暮らしをしているにも関わらず、先進諸国のツケを一身にかぶろうとしています。そこに環境問題のシンボルを感じます。

 アフリカで3千万本の植林活動を行い、ノーベル平和賞も受賞したケニアのワンガリ・マータイさんが今年2月に来日しました。日本の「もったいない」という言葉を世界中に広めた人としても有名です。彼女はカトリック信徒です。彼女は創世記を引用した後、「私たちが他のものより後で創られたということからすれば、私たちは謙虚でなければなりません。なぜなら、私たちが生き残るのには他のものが必要であっても、他のものが生き残るのに私たちは必要ないからです。」と述べています。毎日の生活の中で謙虚に「もったいない気持ちを持ちながら、ものを大切に」生きていくことが「小さなツバルに心を寄せる」ことになるのかもしれません。
写真: 中司 伸聡