2007年8月  1.祝福されたいのち
 真の幸福とは何でしょうか? すべての人が自分の幸せ、家族や友人の幸せ、そして世界の幸せを求めて生きていることは確かです。しかし、幸せとは何?と問われるとすぐに答えが出てこないことも事実です。

 有名な童話「青い鳥」の物語を思い出します。チルチルとミチルの二人の兄妹が「幸せな青い鳥」を探して旅に出ます。どこに行っても探すことができなかった「幸せの青い鳥」は帰ってきた二人のお家にいたのです。恐らく、旅に出る前にすでに「幸せの青い鳥」がいたのでしょうが、あまりに近すぎて二人には見えなかったのでしょう。
 私たちは、生活や仕事に追われて、自分を取り巻く環境をきちんと見ていないことが多いでしょう。すぐ近くにある「幸せ」に気づかずに、遠くにそれを求めることがしばしばあるのではないでしょうか?あっても気がつかない「幸せ」を気づくにはどうしたらよいのでしょう?

 8月は「休暇の月」です。子どもたちや学生たちは夏休みを過ごしていますが、毎日忙しく仕事に追われている大人たちも、何日かの短い日数でも休暇を取ることは大切です。日常生活から離れて休むことは、働く人にとって欠くことのできない大切な時です。週の間にも必ず「日曜日」がありますが、この日の意味は「主の日」であり、日常の生活から離れて、「主を賛美し、感謝するための日」なのです。夏の休暇を旅行やレジャーなど、心と体をリフレッシュするために使うだけではなく、近くにある「幸せ」に気づき、味わい、感謝する時として過ごすためにも使いたいものです。

 創世記に書かれている神は、この宇宙を造り、光や水を与え、そこに花や鳥、魚などを創造しました。最後に「ご自分の姿に形どって」人を創られました。その全てを終えて7日目に休み、創られたすべてを見て、「それは極めて良かった」と思われたのです。神のみ手によって創られたものが「良いもの」として神の祝福を受けているのです。

 私たちは神から創られたすべてのものを見て、味わい、その幸せを思うことを忘れて、遠くに他の「幸せ」を求め、探し、夢見ながら、自分の仕事や役割に振り回されているかもしれません。そのような日常生活からしばらく離れて休むことによって、自分の場所を見直し、自分を取り巻く家族や同僚を再発見する。そこから再び働く意欲や力が出てくるでしょう。元気を取り戻すことができるのです。それは「幸せの青い鳥」が自分の近くにあり、そこに自分を取り巻く自然の素晴らしさを再発見することができるからです。神が創造した光や水、そこに名もなく咲く花、空を自由に飛ぶ鳥、海のなかを泳ぐ魚が見えてくるとき、そこに息づいているすべての「いのち」を感じ取り、自分自身の「いのち」の力をも感じ取ることができるからでしょう。
 神の創造の業を見て「そのすべてが良かった」と神を賛美する時の私たちは、与えられているすべての「いのち」の創造主に感謝と礼拝という最高の幸せを味わうことができるのではないでしょうか。