2007年11月  3.ドメスティック・バイオレンス
 ドメスティック・バイオレンス(DV)とは配偶者やパートナー、恋人同士など親密な関係にある(あった)人に対して振るわれる暴力のことです。具体的には、殴る・蹴る・引きずり回す・物を投げつけるなどの身体的暴力、大声で怒鳴る・罵る・脅すなどの心理的暴力、性行為を強要する・避妊に協力しないなどの性的暴力、生活費を渡さない・働きに行かせないなどの経済的暴力、行動の制限・友人に会わせないなどの社会的暴力があります。(参考:ウィメンズネット・こうべ ホームページ)
 配偶者暴力相談センターにおける配偶者からの暴力に関係する全国での相談件数は、2006年4月〜2007年3月の1年間で、58,528件もありました。4年前2002年の1.6倍に増えています。また、内閣府が2005年度に実施した「男女間における暴力に関する調査」によると、配偶者(事実婚や別居中の夫婦、元配偶者も含む)から「身体的暴行」「心理的攻撃」「性的強要」のいずれか1つでも受けたことがある人は、女性33.2%(何度もあった10.6%、1〜2度あった22.6%)男性18.4%(何度もあった2.6%、1〜2度あった14.8%)でした。(出典:内閣府男女共同参画局)実に配偶者のある女性の3人に1人が配偶者からの暴力被害を経験したことがあり、10人に1人が「何度もあった」と回答しているのです。
 ところが、被害者はさまざまな思いや事情から、なかなかその暴力から逃げる決断ができずにいるのです。「逃げたら殺されるかもしれない」という強い恐怖から家を出る決心がつきません。また、暴力を振るわれ続けても、「自分は配偶者から離れることができない」「助けてくれる人は誰もいない」といった無気力状態に陥っていることもあります。収入がなければ逃げ出しても生活していけません。子どもの安全や就学の問題があれば他の場所に逃げて行いけません。逃げて行くとすると自分の仕事を辞めなければならないし、知り合いや友人もいない所に行くことにもなります。このようなさまざまな事情の他に、配偶者による暴力は、何かのきっかけで突然暴力が振るわれた後に、しばらくは平穏な状態が続き「二度と暴力は振るわない」と約束したりすることがあるため、「暴力を振るうのは私のことを愛しているからだ」「いつか変わってくれるのではないか」などの思いから自分が被害者と自覚することなく結局長い間暴力を受けている状況から抜け出せずにいるということも起こっているのです。更に、一緒に暮らしている子どもの6〜7割が身体的虐待を受け、全ての子どもが精神的虐待を受けているのです。
 一方、暴力を振るう加害者については、一定のタイプはなく、年齢、学歴、職種、年収には関係がみられないといわれます。人当たりがよく、社会的信用もあり、周囲の人からは「家で妻に対して暴力を振るっているなどとは想像できない」と思われている人もいます。(参考:内閣府ホームページ:配偶者からの暴力被害者支援情報)自分がDVの加害者であることを自覚していないことも多々あります。
 配偶者からの暴力は家庭の中に潜んでしまっているので、外からは分からないのです。でも、その家庭の中には日々の生活の中で暴力と痛みと葛藤が続いています。
★家庭の中の被害者が自分の置かれた状況を見極めることができるように、そして外部の福祉事務所、婦人相談所や支援団体に助けを求める決断ができるように。そして心の傷が癒されるように祈りましょう。
★一緒に暮らして、配偶者からの暴力を目撃してしまっている子どもが、早く暴力の状況から解放されて、身体と心の傷が癒されるように祈りましょう。
★加害者が今日一日暴力的な行動や振る舞いを思い留まるように。そして、明日もあさっても暴力から遠ざかる方向に導かれるように祈りましょう。
★周囲にいて関わることのできる人々が、配偶者からの暴力に気づき、支援の手を差し伸べることができるように祈りましょう。