2008年1月  2.三位一体の神を体験する
 世の中には、さまざまな宗教があります。それぞれの宗教には、人間の幸福を求めようとする尊い意向が備わっています。
 しかし、キリスト者は、とりわけ神からのはたらきかけに信頼して生きています。キリスト者は、聖霊の導きに支えられて御子イエス・キリストをとおして御父なる神へと近づいていきます。言わば、三位一体の神からの働きかけを大切に受け取りながら生きているのがキリスト者なのです。
 三位一体の神は、歴史の流れのなかで、人間の状況に応じて自らを与えつづけておられます。相手の受容能力に合わせて寄り添う神です。ちょうど、親が子どもに語りかけるときに、子どもの目線まで腰を落としてかがみこんで丁寧に向き合う、そのような親の姿は、まさに神の態度にあやかっているのではないでしょうか。
 神は、旧約時代において、まず父親のように厳格に人間を鍛えます。イスラエル民族を力強く導いた神は御父としての態度で人間に関わりました。次に、神は、新約時代において、御子イエス・キリストとして、人間の苦しみも怒りも喜びも悲しみも、あらゆることをいっしょに体験してくださいました。さらに、神は、教会の時代において、聖霊として、まるで空気のように目に見えないかたちで私たちをつつみこむと同時に、息吹として私たちの全存在をあたためてくださいます。人間の成長段階に応じて、徐々に自らを分かち与えてくださった神の気配りに感謝したいものです。