2008年2月  2.心の病と孤独
 B子さんの不安はいつになったら仕事に復帰することができるかということです。最近もパートで販売員の仕事をしてみたのですが、うまくいきませんでした。心の病が発症する前、B子さんはブティックで販売員をしていました。その時には自分でもお客さんと会話を楽しんでいました。話していると自然に好みが分かってくるし、その日の気分も伝わってくるので、思い切ってこれはどうですか?と勧めると大抵喜んでもらえた、それが嬉しかったと言います。おかげで店長からも頼りにされていたのでした。けれども今では、その勘が働かないのです。お客さんの気持ちを察するところまで頭が働かないと言うのです。B子さんは神経科でもらう薬のせいではないかと思っています。薬を飲んでいると、頭がボーッとしていて、なんだか集中できないと言うのです。
 B子さんはこの病気がいつ治るのだろうか? と疑問に思っています。病院の先生に聞いてみましたが、はっきりした答えはもらえませんでした。直ったら、また元のように働きたいと思っているのですが、このごろ、本当に直るのだろうか? ということも疑問に感じるようになっています。そんなことを考えているとやるせない、不安な気持ちになってくるのです。こんな気持ちを誰かに聞いてもらいたいのですが、昔の仕事の同僚に話しても元気で働いている人には分かってもらえそうもありません。病院のお医者さんは忙しく、短い診察時間の中ではじっくりと話を聞いてもらえそうもありません。結局、家で独りぼっちでぼんやりとしていると、将来どうなるんだろうと不安な気持ちはますます大きくなってしまうのです。

 心の病を抱えている人には、親身になって話しを聞いてくれる人が必要です。いつも、理解されていないのではないか、受け入れられていないのではないか、独りぼっちになってしまうのではないかと、不安を抱いています。心の有様についても話しを聞いてもらえる機会が少しでも増えるように、また、私たちが、その人たちの隣人となることができるようになりたいと願います。
写真: 中司 伸聡