2008年4月  4.召命と使命
 奉献生活者として神への奉仕に招かれた人、召命に応えた人は、神の望みをこの世で実現するようにと、使命をいただき、人々の中に派遣されます。今週は召命と使命について考えてみましょう。

 神は、ご自分の似姿として創られた人間が一人残らず救いのみ業に与ることを望んでおられます。この大きな望みは、教会というキリスト者の共同体をとおして、実現されていくのです。一人の力はわずかでも、神から一人ひとりに託された使命が束ねられて、神の国の完成へと進んでいくのです。

 神の大きな望みと、自分の望みを重ね合わせてみると、神の望みのなかで、どの領域で自分をささげるように招かれているかが、はっきりとしてきます。その招きを、神との交わりを深める中で、自分の固有の召命をとして受けとります。そして、同じ領域、同じ方向に招かれている人びとの共同体である修道会、宣教会、在俗会、あるいは信徒使徒職団体に入会して、固有の召命を全うすることになります。

 したがって、召命は、自分の心を神に向けて、神との交わりの中で、神の望みと自分の望みをすりあわせていくプロセスだということもできます。召命は、心を神に向けたときの自分の心の姿勢であり、言葉どおり、神に召された命(いのち)のありようなのです。
 使命は、自分の心を人びとに向けて、人びととの交わりの中で、人びとの望みと自分の望みをすりあわせていくプロセスだということもできます。使命は、心を人びとに向けたときの心の姿勢であり、言葉どおり、神に使われる命(いのち)のありようなのです。

 このように、召命と使命は、自分を軸にして神にそして人びとに向かい合うときの心のありさまで、対をなしているものです。そしてこれは、共同体の支えによってより豊かなものになります。その召命と使命にもとづいた具体的な奉仕は、祈りを捧げること、病の人を治すこと、若者を育てること、神との交わりを助けること、人の死を看取ることなどなど、さまざまな領域に及びますが、神の望みと自分の望みとのすりあわせ、そして人びとの望みと自分の望みとの間のすりあわせは、度々必要なことだと思います。神から託された固有の召命と使命を、日々祈りの中で確認しながら、奉献生活が生き生きとしたものとなり、み国の建設の力となることができるように、切に望んでいます。