2008年4月  5.派遣を支える共同体
 神の望みのほんの一部に過ぎませんが、私たち一人ひとりは、神から託された使命を人びとの間で行うよう、招かれています。ところが、神の望みをこの社会の中で果たすときには、さまざまな妨げや困難に出会います。神からの使命への派遣をどのように全うすることができるでしょうか。

 神からの使命への派遣を、「凧(たこ)揚げ」にたとえて考えてみましょう。一人のキリスト者が人びとの間に送られる派遣の場面を、大きな「凧」にその人を乗せて、大空高く揚げる様子と重ねてみてください。凧揚げの経験のある人にはよく分かること、うまく揚がるコツの第一は、風を読むことです。方向や強さ、タイミングなど、目に見えない空気の流れを、指をしゃぶって湿らせて、それをまっすぐに立てたときに冷たく感じる方向から吹く微風を感じ取りながら、凧を揚げる方向とタイミングを計るのです。
 神からの派遣の場合も同じです。目に見えない聖霊の息吹を敏感に感じ取り、その方向、強さ、タイミングを計って、使命に送り出すことが「コツ」なのでしょう。いうまでもなく、聖霊の風が吹かないときは、凧は揚がりません。

 もう一つのコツは、揚げる人のチームワークです。お正月など、畳数畳もあるような大きな凧を揚げる場面などがテレビで紹介されますが、何人もの人が力を合わせて紐を引かなければ、大きな凧をうまく揚げることはできません。神からの派遣の場合も同じです。一人のキリスト者の派遣に際しては、何人もの人が協力して紐を引く役割を果たさないと、派遣の凧はうまく揚がらないのです。そうです。共同体がなければ、キリスト者の派遣は成り立たないのです。

 うまく凧が揚がった後も、共同体の責任は続きます。凧の様子をよく見ていて、聖霊の風が弱くなって凧が落ちそうになったときには、紐をたぐって凧を安定させなければなりません。強い聖霊の風が吹いたときには、思い切って紐をゆるめて、聖霊の風に乗ってその人が自由に働くことができるようにしてあげることも必要です。風が強いときに紐をゆるめないと、紐が切れて凧は飛んでいってしまい、やがてどこかに落ちてしまうからです。

 派遣に必要な聖霊の息吹と共同体について、凧をイメージして考えてみました。自分の派遣について、風はどのように吹いているか、凧が落ちないように責任を持って紐を操ってくれる共同体の支えは、そのようなものか、振り返りのヒントとなれば幸いです。凧につながれた紐は、人びとを介して見えない糸で神に結ばれていることも忘れてはなりません。