2008年5月  1.人間の価値
 創世記の初めには世界を創造される神のみわざが描かれています。それによると神は第一目には光と闇を分け、第二日目には大空を造り、大空の下と上に水を分け、第三日目には陸と海を造り、植物を芽生えさせ、第四日目には太陽、月、星を造り、第五日目は空と海の生き物を造り、第六日目には地上の生き物と神自らにかたどって人を造り、すべてのものを造り終え、第七日目には安息したとあります。
 人間の価値を考えるにあたって、創世記の創造物語は根源的な洞察を与えているような気がしますが、次の二点に絞って考えてみたいと思います。
 第一、世界のすべては神によって「良しとされた」ということです。創世記は「良しとされた」という言葉を七回使うことで、神によって造られた被造物全体が良いもの、美しいものであることを強調します。人間ももちろん「良しとされて」造られました。自分が自分をどのように考えようと、他人が自分をどのように判断しようと、一人ひとりの人間には神による絶対的な肯定が刻まれているのです。
 第二、人間は神にかたどって造られた存在であるということです。イエス・キリストは一人の人間でありながら神の姿をもっとも完全な形で示された方でした。すべての人間はイエス・キリストに倣って生きるように召されています。似姿としての人間はこの世を神の代わりに治めますが、それは所有する形ではなく管理する形です。人間は自分の命を含め、何一つも所有することはできないのです。人間の価値は、神を手伝い、神の代わりに世を管理するところから現れます。神は人間に「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ」と祝福を与えられましたが、それは人間が神と対話をしながら神に協力する存在であることを示しているのです。
 以上の内容から、人間の価値は神の恵みに根拠づけられていることが分かります。人間が築き上げる文化が正しく人間の価値を具現するためには常に神の光に照らされる必要があります。そこから文化は人間と世を生かす根源的な力と洞察を得ることができるのです。