2008年9月  1.難民・避難民は6700万人
 世界規模での調査によると、2007年末現在、国境を越えて紛争や迫害を逃れ難民となった人の数は1140万人、家を追われて国内の他の地域に逃れて国内避難民となった人の数は2600万人、合計で3740万人が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の援助対象者となっており、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の支援対象者が460万人、旱魃など気候変動に起因した環境破壊などのために国内避難民となった人の数は2500万人で、難民と国内避難民の総計は6700万人でした。(UNHCR 2008年6月17日付『グローバル・トレンド』)
 日本の人口は2008年2月1日現在、1億2771万6千人です(2008年7月22日総務省統計局発表)。なんと、日本の人口の半分以上の人々が難民や国内避難民となっているのです。武装勢力の襲撃や暴行を受けながら逃げさ迷い、国境にたどり着いても隣国が温かく迎えてくれるとは限りません。難民となって押し寄せた人々は、自国内にもいる少数民族の急激な増加の原因ともなり、社会不安を引き起こすということで隣国は警戒し、国境警備隊により追い返されることもしばしばです。ようやく国連の用意した難民キャンプにたどり着いても、もしそこに元兵士が混じっていると、キャンプ自体が敵対勢力の攻撃にさらされるという状態にもなるのです。そして、これは一時的な現象ではないのです。国連難民高等弁務官のグテーレス氏は、「2001年から2005年の5年間連続で難民の数が減少したにもかかわらず、この2年間で増加していることを憂慮する。我々は現在複雑に絡みあった世界規模の問題に直面しており、将来さらに多くの人々が家を追われる可能性がある。」と述べています。
 1991年から2000年まで国連難民高等弁務官を務められた緒方貞子さんも難民は紛争によって人為的に作り出されたものだと述べています。背景に国家間の政治的対立や、民族間や諸勢力間の対立があるのです。だから、私たちは紛争が終結するように祈りましょう。そしてまた、難民や国内避難民が不自由のない環境の中で人間らしい生活ができるように、祈りましょう。
写真: 日本国連HCR協会2004年ニュースレターNo.3より