2008年10月  4.マリアの導き
 10月は「ロザリオの月」と言われています。ロザリオの祈りは、よくご存じのように、「使徒信条」「主の祈り」「聖母マリアへの祈り」「栄唱」をロザリオの珠を繰りながら規則正しく唱え、「玄義」と訳されている「マリアとイエスの上にはたらいた神の不思議な業(Mystery)」のさまざまな場面を思いめぐらして味わうことができるように構成されています。そして、その中では「聖母マリアの祈り」が最も多く繰り返して唱えられるのです。

 聖母マリアは私たちの信仰の模範とされます。それは、神のみ旨がマリアに伝えられたとき、その意味がよく理解できないときでも、いつも「はい」と応えて、「み旨のままになりますように」とすべてを受け止められた姿勢にあります。そしてマリアは、繰り返しその出来事の意味を思いめぐらして祈っていました。マリアのこの姿勢を「なれかし」と言いますが、口語では「そのようになりますように」という意味です。ラテン語で「フィアト」と言います。

 さて、ある教会で聖堂を改装するときに、聖母マリアのご像をどこに置くかについて話し合ったときに、いろいろな意見が出されましたが、結論としては、聖堂の入り口近くに置くことになったそうです。皆が納得した説明は、「マリアを通して私たちはキリストに出会うのだから、聖堂入り口でマリアに祈り、その導きによって聖壇に掲げられた十字架上のイエスに出会うようにご像を配置しましょう」という司祭の発言だったと聞きます。

 神の子イエスは、マリアの胎内で育まれたのですから、神は独り子を託すに相応しいおとめマリアの「フィアト」の姿勢にいかに信頼を寄せておられたかが分かります。ロザリオの祈りを捧げるときに「おとめマリアが(私たち)キリスト信者を救い主キリストへと導く」ように計られたこの神秘を、深く味わうことができるように、毎日を過ごして参りましょう。