2009年2月  1.大統領の就任演説
 今、世界中で一番注目され、そして心を引かれる人物は、オバマ大統領だと言っても過言ではありません。今月は、教皇の意向で、アフリカで開催される特別シノドスのために祈りますが、アフリカにルーツをもつオバマ大統領の就任演説の一部を味わいながら分かち合ってみたいと思います。

 「この日、我々は、恐怖ではなく希望を、紛争と不一致ではなく目標の共有を選んだため、ここに集った。」このような希望と共有のメッセージを久しぶり聞いて、とても新鮮な感じを受けたのではないでしょうか。

 「尊い考えというのは、すべての人は平等で、自由で、あらゆる手段により幸福を追求する機会を与えられるという、神からの約束のことである。」これを「尊い考え」にとどまらせることなく具体化するのは、オバマ大統領だけではなく、私たちの一人ひとりの肩に背負った使命です。

 「我々の経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、我々の繁栄が広がる範囲や、機会を求めるすべての人に広げる能力によるものだった。慈善としてではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としてだ。」古くて新しい経済の指標は示されています。貧困は追放され、地球の富が「すべての人に」分配されることは「慈善」ではなく、世界の「公共の利益」になるはずです。

 「我々は、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、それに神を信じない人による国家だ。我々は、あらゆる言語や文化で形作られ、地球上のあらゆる場所から集まっている。」種々の「多様性」があることを、国家と地球の豊かさを意味する言葉として、耳を傾けたいと思います。

 「我々には、南北戦争や人種隔離の苦い経験があり、その暗い時代から出てきて、より強く、より団結するようになった。我々は信じている、古くからある憎しみはいつかなくなり、民族を隔てる線も消えると、世界が小さくなる中で、我々に共通の人間愛が現れることになると。米国が、新しい平和の時代に先駆ける役割を果たさねばならないと。」これはまさに「神の国」に向って歩んでいるような気がしてなりません。

 「我々と同じように比較的満たされた国々よ、我々が国境の向こう側の苦悩にもはや無関心でなく、影響を考慮せず世界の資源を消費することもないと言おう。世界は変わった。だから、我々も世界と共に変わらなければならない。」アフリカの人々を心の中に思い浮かべ、自分自身の中にオバマ大統領の呼びかけに対する応えを探しながら、私たちが「変わる」ことができるよう願って、日々を重ねてまいりましょう。