2009年3月  1.女性の天賦の才
 毎年、3月8日は国際女性デーです。今月も、世界のあらゆる国で、女性の尊厳と真価が正しく認識され、社会的役割について正しい評価がなされるように祈ります。   
 1988年8月15日に、前教皇ヨハネ・パウロ二世が「女性の尊厳と使命」という使徒的書簡を発行されました。また1995年6月に「女性への手紙」を出されました。
 ヨハネ・パウロ二世は、女性の尊厳を説明するにあたって、人間の姿を次のように現しています。「人間だけが愛することができ、人間だけが愛されることができます。」
 女性の尊厳は、受ける愛と密接な関係があります。またそれは、返す愛にも結びついています。実は、人間が自らを純粋に与えることによって、初めて完全に自分自身を見いだせるのです。女性も他人に愛を与えることによってのみ、自分自身を発見できます。 
 愛は、人間が人間らしく生きるために、また人間らしく振る舞うために必要なものです。人間は愛されなければなりません。なぜなら、愛されることによって初めて、人間は人を愛することができるからです。
 愛は家庭で育まれます。男性と女性が愛し合うことによって夫婦に子が生まれ、最も小さな愛の共同体ができます。女性はその中心にあって、社会へ愛を注ぎ続けます。
 ヨハネ・パウロ二世は女性の独特の才能を説明して、「女性の天賦の才」という言葉を使っています。女性には、感性の豊かさ、明敏さ、勇気、熱意、迎え入れる、受け入れる力があります。また、客観的な判断力、特別に弱いものへの慈しみ、暖かさも備えています。これらは特に女性に多く見られる賜物です。
 女性には、今の世界文明を愛の文明に変えるための特別な才能があります。経済性、効率に基づく今の社会の矛盾を指摘して、人間味のある社会をつくるために必要な方法を示します。
 今までは男性が中心になって、政治・経済・社会の運営がなされてきました。女性がもっとそれらの分野にも参画することによって、愛にあふれた「女性の天賦の才」を、仕事でも家庭でも、より生かせるように、祈り働きたいものです。
 愛がみなぎる世界をつくるために。