2009年5月  3.宣教の保護者
 教会の中で、福音宣教の保護者とされている聖人に、対照的な生涯を送った聖フランシスコ・ザビエルと幼きイエスの聖テレジアの二人がいます。聖フランシスコ・ザビエルは、「東洋の使徒」と称されているように、自ら東洋の国々に赴いて福音宣教に従事し、アジアの国々に福音の種を蒔きました。そして、現在、神の恵みのうちに、その多くの国々で、その種が成長し、豊かな実を結んでいます。
 これに対して、フランスのリジューのカルメル会修道院から一歩も外に出ることなく、若くしてこの世を去った幼きイエスの聖テレジアが、宣教の保護者として崇敬されているのは、どうしてでしょうか。それは彼女が、宣教の熱意に燃え、宣教のために世界各地に派遣されている人々を、祈りと犠牲によって支援していたからです。聖テレジアは、宣教へと遣わされている人々のために隠れた支えとなることによって、宣教のために全世界を駆け巡りたいという自分の内面的な望みを満たしていたのでした。
 「わたしたちの一つの体は多くの部分から成り立っていても、すべての部分が同じ働きをしていないように、わたしたちも数は多いが、キリストに結ばれて一つの体を形づくっており、各自は互いに部分なのです」(ローマ12・4-5)と聖パウロは教えています。
 わたしたちは、それぞれに神から受けている賜物に従って、キリストの教会のために奉仕するよう招かれています。聖フランシスコ・ザビエルと幼きイエスの聖テレジアが、それぞれ違った働きをしながら、福音の宣教のために自らをささげたように、わたしたちもそれぞれの立場で、宣教のため、また召命の促進のために祈り、与えられた賜物に従って、自分にできる小さな奉仕をおささげして行くことができれば幸いです。