2009年6月の意向
 「キリストの聖体」の祭日を祝う今月は、交わり(コミュニオン)の豊かさに至る道を探し求めながら、苦しみも喜びもすべて神にささげて日々新たにされ、互いのいのちを支え合って過ごしてまいりましょう。
 国家の枠の中では、経済的な破綻を救済する仕組みが備えられていて、個人も法人(組織)も、やり直す機会が与えられていますが、国家を超えたいわゆるグローバル経済においては、失敗や破綻を救済する仕組みはありません。ですから、昨年の秋に起こった世界的な金融危機に際しては、国際的な会合を重ねて協議しながら共通の利益を探っていくほかに方法はないのです。危機が回避されても、結果としてそのしわ寄せは、貧しい国の債務(借金)として累積されます。つまり、貧しい国がますます貧しくなっていって、やり直す機会が与えられないのです。対外債務を取り消すこととは、豊かな国々の失敗によって貧しくされた国々に、やり直す機会を平等に与えることなのです。


一般: 対外債務の取り消し
 対外債務の重荷を取り除くことによって、より貧しい国々を助ける国際的な努力が速やかになされ、具体的な実りをあげるように

宣教: 暴力が支配する地域での教会
 暴力によって引き裂かれた地域のために奉仕する教会共同体が、世界中のカトリック者の愛と、具体的な愛のしるしによって、支えられるように

日本の教会: 聖体と貧しい人への奉仕
 観想生活者が神の愛をとこしえにあかしできるように

「聖体は愛と連帯の学びやです。キリストのパンを食べる人は、現代においても日ごとのパンにこと欠く人々を前にして、無関心でいることができません。多くの親たちが自分と子どものためにわずかなパンを用意することしかできずにいます。国際社会はこのますます悪化する問題を解決するために多大な努力をしています。教会は『日ごとの糧を今日もお与えください』と祈るだけではありません。むしろ、主の模範に従い、人間性の推進と分かち合いのためのさまざまな計画によって、『パン五つと魚二匹を増やす』ためにあらゆる努力を行います。それは、だれも生活に必要なものに不足することがないようにするためです。親愛なる兄弟姉妹の皆様。キリストの聖体の祭日が、兄弟、とくに貧しい人々に対するこのような具体的な関心を高めるための機会となりますように」
――教皇ベネディクト十六世 (2008年5月25日 「お告げの祈り」のことば)
写真: 植松 康祐