2009年10月  2.最初の福音宣教者である聖母マリアとともに
 10月は「ロザリオの月」と言われることがあります。それは、10月7日の「ロザリオの聖母」の祝いに由来しています。ヨーロッパを侵略しようとしていたトルコの艦隊を、キリスト教徒の艦隊が、1571年10月7日、ギリシアのレパントの港で打ち破ることができたのは、聖母マリアの取り次ぎによる神の恵みであることを思い起こすため、1573年、教皇ピオ5世は同日を「ロザリオの聖母」の祝日としたのでした。
 第二バチカン公会議の『教会憲章』が、「マリアはその母性愛から、まだ旅を続けている自分の子らの兄弟たち、危険や困難の中にある兄弟たちが、幸福な祖国に到達するまで、配慮し続ける」(62)と教えているように、聖母マリアは、助けを求めている人々が、神と人間の唯一の仲介者であるキリストの豊かな恵みにあずかることができるよう、絶えず心を配っておられます。
 また、『教会憲章』は次のように教えています。「人々に対する母としてのマリアの役割は、キリストの(この)唯一の仲介をけっして曇らせたり、減少させたりするものではなく、かえってキリストの仲介の力を示すものである。実に、聖なる処女が人々の救いに対して及ぼす影響はすべて、客観的な必要性からではなく、神の好意から生ずるものであり、満ちあふれるキリストの功績から流れ出て、キリストの仲介に基づき、その仲介に全く依存し、その仲介からいっさいの力をくみ取るのである」(60)。
 お告げを受けてその胎内に救い主を宿していた聖母マリアは、エリザベトにその喜びを告げた最初の福音宣教者でした。ご自分が産み育てたイエス・キリストが、まことの救い主であることを誰よりも知らせたいと望んでおられるのは、聖母マリアに他なりません。まだ、真の救い主であるキリストを知らない人々に、その福音を告げ知らせるために、種々の霊的な迫害や困難などに直面している人々のために、聖母マリアの取り次ぎを願って祈ることは、大きな力、支え、慰めとなるものです。
 神の好意によって、わたしたちの母として与えられている聖母マリアを通して、より多くの人々がキリストによる救いへと導かれていきますように、とくに、この10月はロザリオの祈りをささげて聖母マリアの取り次ぎを願いましょう。