2009年11月  1.死者の日
 日本にお盆やお彼岸があるように、カトリック教会では、11月を死者の月に、そして、11月2日を死者の日と定め、共同で墓参をしたり、死者のためにミサを捧げたりします。 11月の「きょうをささげる」の意向に、日本の教会は「死者のために祈る」ことを掲げています。死者のために祈るとは、どういうことなのでしょうか。
 まず、亡くなった方のすべての罪が許され、天の国で永遠のいのちを生きることができるようにと祈ることが、大切でしょう。しかし、亡くなった方が死を迎えるときに、天の父とどのように交わり、ご自分をどのように明け渡して神に信仰を告白されたか、誰一人として知ることができません。神とその方の関係は、神のみがご存じで、その方を天の国に迎え入れてくださるかどうかは、私たちの想いを超えたところにあるのです。ですから、私たちは心を込めて天の国に入ることができますようにと祈りますが、同時に、その霊魂を神にお返しし、あなたの御旨のままに、あなたの愛と慈しみでその方を迎えてくださいと、神にお委ねする心も大切なのではないでしょうか。
 また、聖霊の働きによって、私たちは亡くなった方々と交わることができると、教会が教えているとおり、生きているときは空間的に離れていたその方とは、亡くなった瞬間から時間と空間を超えてすぐ近くに、いや私たちの心の中にその方を迎えて交わることができるのです。「諸聖人の通功(今では聖徒の交わりという)」とも言われています。復活して天の国に迎え入れられ死者の霊魂との交わりで、私たちは何を望んだらよいのでしょうか。それは、天の国から私たちのこの地上での生活を見守り、私たちを神の道へと導いてくださるように願うことなのです。
 11月1日は「諸聖人」の祝日、11月2日は「死者の日」です。この一週間を、死者の霊魂が安らかに憩うように、そして死者の霊魂が天の国から私たちを見守り導いてくださるように祈りながら、心静かに過ごして参りましょう。