2010年4月  3.迫害されるキリスト者
 「世があなたがたを憎むなら、あなたがたを憎む前にわたしを憎んでいたことを覚えなさい。あなたがたは世に属していない。わたしがあなたがたを世から選び出した。だから、世はあなたがたを憎むのである。『僕(しもべ)は主人にまさりはしない』と、わたしが言った言葉を思い出しなさい。人々がわたしを迫害したのであれば、あなたがたをも迫害するだろう。」(ヨハネ15・18-20)

 イエス・キリストは、ご自分に従う者はこの世で必ず迫害があるであろうことを私たちに予告なさいます。師である主が迫害され十字架を背負われたのであれば、弟子である私たちにも当然迫害があり、背負わなければならない十字架があるであろうことを告げられます。悪魔は迫害によって人間を光の道から引き離し、闇に引き込んで滅ぼそうと企んでいます。十字架を負い、信仰を貫いて光の道を歩む神の民の姿は、キリストの弟子であることの直接の証しなのです。
 現代社会においても、主の予告通り神の民は多くの迫害に直面しています。主に二通りの迫害があります。恐怖による迫害と、快楽による迫害です。世界の多くの国で、政治的主義主張や宗教的排他主義のもと、暴力や制度・慣習によってキリスト者の生命・財産・人権が脅かされています。恐怖によっていのちを支配下に置き、キリスト者に信仰を離れるよう誘惑する悪霊の働きを見ることができます。また同じように多くの国で、現世的な享楽・不必要な財の蓄積や利己主義を価値あるものとして煽り立て、人々がそこに巻き込まれています。快楽によっていのちを支配下に置き、キリスト者に信仰を離れるよう誘惑する悪霊の働きを見ることができます。
 私たちはこの世の誘惑に打ち勝ち、光の道を歩み続けるよう召されています。弱い私たちにとってこの神様の招きに応えていくのは、一人きりでは困難です。迫害の中を歩む力の源泉は、聖霊の恵みによって結ばれる絆、すなわち神と民の間の絆と、神の民同士の絆です。一つの神の民である全世界の教会が、迫害による苦しみを皆で共有し担い合い、励まし祈り助け合いながら、頭であるキリストとともに歩むとき、そこにある断たれることの決してない永遠の愛の絆が、すべての迫害を無力化していきます。そこにある断たれることの決してない永遠の愛の絆が、世に御復活の喜びを告げ知らせていきます。

 主よ、私たち神の民が愛で結ばれ一つになって十字架を担い、迫害する者のために祈りながら、あなたとともに歩み続けることができるよう、私たちの心を照らし強めて下さい。
 「喜びなさい。大いに喜びなさい。天には大きな報いがある。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。」(マタイ5・12)