2010年4月  5.神から与えられる愛の力
 イエスは言われた。「わたしが命のパンである。わたしのもとに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決して渇くことがない。」(ヨハネ6・35)

 イスラエルの民はかつてモーセに率いられてエジプトから脱出したのち、40年間約束の地を探しながら、飢え乾き、荒野の中をさまよいました。神はモーセを通して天からのパン、マナを民に与えられました、民はその恵みによって飢えと乾きから癒されたのです。

 神との絆を失った人類は、同じように自らのいのちの約束の地を探し、この世という荒野の中をさまようものとなりました。魂の飢えと乾きにさいなまれながら、なんとかしてその苦しみから逃れようと互いに憎しみ合い、奪い合い、争い合い、殺し合う。歴史を通じてこの地上にはびこる貧困・搾取・差別・戦争・殺戮などなど、あらゆる悪は、神との絆を失った人間が必然的にたどる滅びの道です。

 イエスは、ご自身こそがまことの命のパンであることを伝えられます。イエスこそが、すべての人が探し求めている永遠のいのちの糧です。それはご自身の愛によってすべての人の罪を赦して神との絆を回復させ、そのわざとみことばによっていのちの本姓である愛を与えてくださいます。イエスを信じ、そのみわざとことばを受け入れたものは、もはや飢えることも乾くこともない。尽きることのない恵みによって私たちのいのちが支えられ守られ養われ導かれていることを、あふれる愛によって満たされていることを知るからです。イエスが結んでくださった神との絆によって、愛のために喜びをもって労苦を負い、憎むよりも愛すること、奪うよりも与えること、争うよりも和解することを、殺すよりも生かすことを望む全く新しいいのちの地平が開かれます。

 この世のすべての悪に打ち勝つ究極的な力は、イエスを通して神から与えられる愛の力以外にありません。私たちがいつもイエスとつながり、イエスを通して神の愛を受け取りながら、この地上の悪に打ち勝っていくことができますよう、いのちの使徒、平和の使徒として主とともに働くことができますよう、聖霊の恵みを願いましょう。