2010年10月 5.神のイニシアティブに身を委ねて |
31日(年間第31主日)のミサの福音では、徴税人の頭であったザアカイの回心の物語が読まれます。背が低かったので先回りしていちじく桑の木に登っていたザアカイにイエスは声を掛けられます。 「ザアカイ、急いで降りて来なさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい。」 イエスのこの一言がザアカイの心を捉え、回心へと導きます。何と慰めに満ちた言葉でしょうか。このイエスの言葉は、洗礼を受けたわたしたちひとり一人にも向けられている言葉です。なぜなら、神がわたしたちの心に住み、弱いわたしたちの中で働いて、回心の実を結ばせてくださるからです。そのために、わたしたちは自分の中に住んでいてくださる神の声に耳を傾け、その導きに従って生きることが求められています。 R.ドグレール・J.ギシャール共著(伊従信子訳)『神と親しく生きるいのりの道―幼きイエスのマリー・エウジェンヌ師とともに―』(聖母文庫)の中に、神の働きに信頼するよう教えている、次の言葉がありました。 「わたしたちの協力は必要ですが、神がまず働かれます。霊的生活の初期においてわたしたちは自分の努力で生活しています。ある時期になると神はご自分でイニシアティブをとるようになります。その時、キリストについて、キリストの体である教会について深い発見をします。このようにして神の歩調に合わせて歩くことを学びます。それはわたしたちの霊的生活の曲がり角であり、人々にとってはよきおとずれなのです。聖霊がわたしたちによってわたしたちの内で働くことを望まれているからです。ですから、聖霊が望まれるようにさせることが必要です」(176頁)。 弱く小さなわたしたちの中で神が望まれることをしていただくために、わたしたちも「霊的生活の曲がり角」を通過することができますように。 |