2010年12月  3.子どもを育む
 神の御子の誕生は、天使たちによって羊飼いたちに知らされました。ヨセフとマリアが旅の途中で、泊まるところもないままに、困難さのまっただ中に示された神の栄光は、その後、ヨセフとマリアによって大切に大切に育まれていきます。「インマヌエル、神は私たちとともにおられる」と名付けられた幼子イエスが成長していく姿を想像しながら、子どもたちの救いを祈り願っていくことにいたしましょう。
 出産の場面を想像の目で組み立ててみましょう。身重のマリアに陣痛が始まり、泊まる宿を探しても見つからずに途方に暮れるヨセフは、農家の片隅の家畜小屋を見つけて、柔らかい藁(わら)の上にマリアを横たわらせます。産みの苦しみの中にいるマリアの手を、しっかりとヨセフが握りしめています。大きく息をするマリアから産まれ出でた赤子を、ヨセフはそっと取り上げます。飼い葉桶に残っていたわずかな水を、ヨセフは自分の手で温め、イエスの肌をぬぐいます。そして布に来るんで、マリアに抱かせます。マリアの乳を飲んでイエスは、飼い葉桶に敷き詰められた藁の温かさに包まれて、すやすやと眠りにつきます………。
 幼子イエスが、ヨセフの仕事場の近くで、近所の友だちと遊んでいる場面を、想像の目で組み立ててみましょう。イエスの声が聞こえます。マリアはその声を聞きながら、イエスの成長を祈ります。友だちに優しく振る舞うイエスを、ヨセフは心から喜んで見守ります。近くに住む大人たちも、いつも子どもたちを心に留め、見守りながら日々を送ります………。
 ヨセフとマリアの愛といつくしみに満ちた行いがあってこそ、私たちは救い主イエスを神から授かることができたのです。ナザレの人びとの暖かく見守るまなざしがあったからこそ、イエスがのびのびと成長していったのです。今のこの世で、神から授かった一人ひとりのいのちも、イエスと同じように、私たちの愛といつくしみによって、育んでいくことを、神は望んでいらっしゃるのです。
 子どもを育てる愛といつくしみの心が、すべてに人のうちに豊かに養われますように。